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泣いたり笑ったり、くっついたり離れたり。
よくわかんないよ…
何よりも。
さっきの涙はどこ行ったの?ってくらい、満面の笑み。
それが数センチ先にあるのだから、照れないわけがない。
目を反らしたくても、真っ直ぐとした強い視線に体を動かすことも出来ない。
改めてじっくりと見る蒼の顔は、綺麗すぎで。
『な…によ?』
口までも金縛りにあったように言うことを聞かない。
「俺さ…」
話し始めた蒼の顔にもぉ笑みはなく、真剣に私を見つめている。
だけど目尻は優しそうに垂れ下がって、さっきまでドクドクとうるさかった心臓を少しずつ落ち着かせた。
こんな顔も出来るんだ…
普段だったら赤面するところが、まるで自分が第三者であるかのように、蒼の顔を見つめている。
テレビの向こうの芸能人を見ているような、そんな感じ。
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