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「なぁ、ミカ歌わねぇの?」


何故か私はコイツの横。

光は向かい側で赤と白に挟まれてる。


カラオケの音量のせいで、ヤツは耳元で私に話しかける。

コイツから離れようと、ソファーの端に移動していくが、もぉ体が落っこちそう。


近寄るなって言うのに…


『ひゃぁ!』


やっぱりソファーから落ちた私。


でも、落ちてない。



ヤツに腕を引かれ、抱き留められた状態。



「危ないでしょ?

もぉー。」




アイツの胸の中。




こんな風に抱き締められるのは初めてだから、反射的に顔が熱くなってしまう。


『ごめん…』



原因を作ったのがヤツだというのも忘れ、素直に謝ってしまった。




『あ、あたし、トイレ行ってくる。』


少しだけ緩んだ腕を振り払って、部屋を出た。


きっと赤いであろう頬を抑え、店の外にある段差に腰を下ろした。




オレンジ色の空をビルの間から見上げる。



何でカラオケなんかついて来ちゃったんだろう。



そもそも、あの2人、慎クンと圭吾クンは、光のタイプではないと思う。


初対面に誘われるのがあまり好きでない光が、どぉしてカラオケに来たのだろう?


帰りに聞いてみよう。





オレンジ色が少しだけ黒を混じらせてきた時、前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「谷口さん?」


一瞬体が固まり、ゆっくりと顔を上げようとした時、

「ミカ?


やっぱり。

光チャン心配してたよ?


戻ろう?」


店からタイミング良く出てきたアイツ。



目の前にいるその子から逃げ出したくて、ソイツの嘘でも優しい声にすがりたくなる。



下を向き続ける私を不審に思い、隣にしゃがんで顔を覗いてくる。



これが光だったら、素直に甘えられるのに…




「へぇ〜

まだ、男遊びしてるんだ?


あんまり手出し過ぎると、また痛い目見るんじゃない?」



吐き捨てるように言われた言葉に、気持ち悪さと激しい頭痛が私を襲い、そのまま意識を手放した。



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あきゅろす。
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