14
不安いっぱいにすぐ横にある頭を見ても、蒼は顔を上げる様子を見せない。
と思った矢先、いきなり蒼の体が離れ、1歩分だけ距離をあけると、
「殴ってぃぃよ!」
ギュッと目を瞑って突き出した左頬は、まだ赤くて少し腫れている。
瞑っていても、瞼も赤く腫れているのは丸わかりだし。
かっこぃぃ顔が台無しだよ…
右手を伸ばして頬に触れると、ほんのり熱を帯びていた。
触れた瞬間、殴られると構えていた蒼の体がピクッと動いたのは気にせずに、痛くないようにそっと親指で頬を撫でた。
『でも、守ってくれたじゃん。
まだ痛い?』
目を開けないまま、蒼の手が私のと重なる。
「冷たくて気持ちい。」
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