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「光、やっと来たか?
真紀が待ってるぞ?」
「うそ?
行ってくる!」
真紀(マキ)さんは2年生の野球部のマネージャーさん。
そして、光のお兄さん、哲史(テツシ)さんの彼女でもある。
『哲にぃお疲れ様。』
「メガネ蜜香、久しぶりだな。
どっちも可愛いけどさ!」
この兄妹は、何故かこっちの私を可愛いと言う。
『お世辞はぃぃから。
練習ぃぃの?』
「やば!
ゆっくり見てってね?」
小学校からずっと見てきた一生懸命な姿。
それが報われて、今は2年生なのにエースを任されてるらしい。
久しぶりに見る哲にぃのユニフォームは、相変わらず眩しかった。
近くのベンチに座り、野球部の練習を見学していると、真紀さんと話し終えた光が走ってきた。
「ごめんね!
教室行こ?」
光は、哲にぃの後を追って、マネージャーになりたくてこの高校を選んだ。
光のブラコンは普通じゃない。
でも、真紀さんとも上手くやってるから、兄ラブではなさそうだけど。
教室に向かいながら、これからのコトを思い出し、ため息がでた。
『やっぱ、行かなきゃだめ?』
「うん、ダメ!」
?
光に聞いたはずなのに、階段の上から声が聞こえたような…
『わぁ!
なんであんたがいるのよ!』
上にいたはずのソイツは、いつの間にか私の後ろにいて。
私の腕を掴み、昇降口へと運ばれる。
「ミカが逃げたら困るから。
カラオケへレッツゴー!」
『ひっ、光ぃ〜!!』
私の叫びなんて全く相手にされず、赤と白に挟まれた光は、ゆっくりと私たちの後ろを歩き始めた。
楽しそうに話しながら…
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