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心を失くした天使2
久しぶりの笑顔
晃司は僕の中で二回射精したと言っていた。出し入れされてる間は僕も気持ちよくて、ちんこに触ってもいないのに勝手に射精してしまった。
終わってからはお尻が少しヒリヒリしたけど嫌な痛みじゃない。
「陸斗の中、あの時より何倍も気持ちよかったよ」
晃司は僕を抱き寄せて顔を近づけ、息がかかる距離で褒めてくれた。
「…」
「どうしたの?」
「…和也の事…忘れたい…」
「…」
「ひとりぼっちはもうやだ…」
和也と晃司とでは存在意義が違う。和也と愛し合いたいわけじゃないし、晃司は小さい頃からの親友でもない。
でも僕というちっぽけな器を満たしてくれるという意味では同じだ。晃司が僕を満たしてくれるなら、行方が掴めない和也を探す事に意味があるのだろうか?
そもそもインターネットで何となく、みたいなやり方で見つかるなんて最初から期待してないし、明日からまた同じ事を事務的に繰り返すのかと思うと憂鬱になった。
「俺がいるよ」
晃司の一言一言に心を惹かれる。そのたびにどんどん好きになっていく。
「和也くんを忘れろとは言えないけど…俺はここにいる」
「…」
好きでたまらない。愛してる。僕をもっと愛して。その為だったら何でもする。
どれも言葉にするのは恥ずかしくて、思い切り抱きついてキスをした。
「俺と一緒にいよう。陸斗に寂しい思いや嫌な思いはさせない」
「…信じていい?」
「うん」
「…」
『愛してる』はやっぱり言えなかった。

僕達は会うたびにお互いを求め合った。学校では無口な優等生を演じ、家ではすべての感情を殺し、そして晃司の前では何もかもを晒して愛し合った。
晃司が手や口で僕を気持ちよくしてくれるのは好きだけど、フェラチオというやつを僕がするのだけはちょっと抵抗があった。その気持ちを押し殺して舐めた事はあるけど、察した晃司は
「嫌な事はしなくていいよ」
と強制はしない。そんな僕を気遣うやさしさにまた心を打たれて、やがて僕はもう晃司しか見えなくなっていた。

男同士のセックスが好きだなんて、僕はきっと超エッチな超変態なんだと思う。
友達はクラスメイトの女子のおっぱいがどうとか、そんな話をしてるやつばっかかりだし、中には『昨日三回オナった』とか自白してるやつもいたけど、高校生男子のちんこをお尻に入れられて恥ずかしい声で喘ぐのは僕だけだろうと自覚していた。
確かに気持ちいい。病みつきと言ってもいい。でもセックスそのものよりも、終わった後で晃司に『最高だった』とか『陸斗のおかげで気持ちよくなれた』とか褒められるのがたまらなく嬉しかった。
僕は晃司に何かしてあげられるわけじゃない。でもどんな形であれ、晃司に尽くせてる充実感があった。だから晃司が望むならどんな恥ずかしい格好もした。晃司以外の人に見られようものなら自殺した方がマシなくらいの格好でも。
晃司が思い切り腰を振りたいなら四つ這いになってお尻を高く突き上げる。
晃司が仰向けで横になったなら、僕はその体を跨いで自分で上下に動く。
エッチなやつだと思われてもいい。それが事実だし、晃司が気持ちよくなってくれるならそれでいい。
でも一番好きなのは、抱き合ってお互いの顔を向き合わせてのセックスだ。晃司が僕の中に入り腰を振ってる間、息遣いを感じ、キスを求めたり出来る。
僕は両手両脚をしっかり晃司の体に巻き付け、ただ喘ぐしか出来ないけど、それで晃司が気持ちよくなるなら何十分でもそうしていたい。
それが僕の愛情表現だった。

元々頭の出来がいい晃司は、やがて地元の大学に合格した。勉強の邪魔はしたくないと思いつつ、やさしさを求めてしまう僕の事もちゃんと大切してくれたし、連日睡眠不足にさせてしまったのは申し訳なく思った。
「これからはゆっくり出来るよ」
側にいてくれるだけで満足なのに
「そのうちどっか遊びに行こう。日帰りでもいいからのんびりと」
と、あくまでも僕に尽くしてくれる。
相変わらずフェラだけは苦手だけど、それ以外の事なら僕も晃司に尽くした。尽くす事が僕自身の喜びになっていた。

「あんっ…!あんっ…!あんっ…!」
今日もまだ外が明るい夕方、晃司に抱きつきながら堅いもので突かれて僕は喘いでいた。
僕の口を晃司の手が塞ぐ。
「陸斗の声、すごく興奮するけど、この前お隣から苦情が来ちゃった」
いけね、調子に乗りすぎたみたい。でも気持ちよすぎて我慢出来ないんだ。
「んっ、ふっ、んっ…!」
「こんなに感じちゃう子は…こうだっ」
塞ぐ手の代わりにキスしてくる晃司。
「息っ…出来ないよっ」
悪ふざけに少し吹き出してしまった。
「…やっと笑った」
「…」
そう、僕はあの日から笑っていない。友達の輪の中で何となくヘラヘラする時はあるけど、心の中は笑っていない。
照れ臭くて思わず顔を背けた。
「何だよ、照れるなよ」
晃司は僕の唇を追って更にキスしようとしてくるけど、あっちを向いたりこっちを向いたりしてかわす。
その間も自然にクスクスと笑みが漏れた。

…和也、俺…もう笑っていいかな…?

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