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監視遊戯
拉致
夏が過ぎ、そろそろ肌寒くなろうかという頃、俺は会社も無断で休むようになり、真一の監視にすべての時間を尽した。
宿題をしていても、テレビを観ていても、真一が俺を求めてる気がした。

そして事態は最悪の展開へと転がり落ちていく。
遂に直接、跡をつけまわすようになってしまった。真一が部屋にいない時、どこにいるのか、何をしてるのかが気になって仕方ない。遊びに行った先で、人目を盗んで俺に愛される事を想いながらマスかきしてるんじゃないだろうか…?俺に抱かれるのを想いながら、肛門に堅い物を挿入してるんじゃないか…?もはや現実との区別がつかない妄想に終わりはなかった。

モニター室を離れ、家の前に車を停めて俺の目で直接監視するようになり、真一が出掛けようものなら跡をつけて行く。
最近では、長時間の外出か、コンビニで買い物程度の外出か見極められるようになった。いずれにしても車で跡をつけ、友達の家に行ったなら、その家の前で何時間でも帰りを待つ。
…思えばそれはもう『監視』ではなかった。機会を伺っていたんだ。真一が一人になる機会を…。

夜は夜で、モニター室から監視する。アナルオナニーを毎晩見守り、朝は偶然を装い挨拶を交す。そんな甲斐あって、朝の挨拶も慣れたものになってきた。
「おっはよ〜ございま〜っす」
いつも朝見掛ける相手。もちろん素性こそ何も知らないだろうが、まるで友達との挨拶のようだ。すれ違い、お尻を軽く振りながら走っていく姿に欲情し、路上にも関わらず俺は股間を膨らませてしまう。今すぐマスかきしたい衝動を押さえるのはなかなか苦労するな。まぁそれも今のうちだけだ。もうすぐ真一の中で果てる時が来るのだから…。

そして遂に来たその日。ある日曜日、真一は午前中はおとなしく家で宿題をしていた。午後になり、友達の家へと向かう。これまでも何度も出掛けた事のある仲良しの友達だ。いつも通りならば、帰り道は都合のいい事に人気のない農道を通って帰る。おそらく近道だからだろう。そこしかチャンスがない。今日こそ…真一と結ばれよう。

思った通り、真一は友達の家を出た後、農道に入った。黙々と退屈な道のりを行く。
俺は後ろから車で近づいた。チラッと見て、脇に寄る真一。まだ俺だとは気付いてない。真横に着いた時、俺は車を止めた。
「ねぇ、君」
窓を開け、白々しく声を掛ける。真一の目は、見覚えのある俺がここにいる事を驚いてる。
「あれっ?朝よく会うよね?」
「うん、こんちは」
「こんにちは、偶然だね」
本当は必然だが。
「あのさ、ちょっと道教えてもらいたいんだけどね…」
助手席に拡げた地図を見せる為、ドアを開ける。真一は警戒する事なく、身を乗り入れ、地図を見た。
「コンベイションホールってこの道を行けばいいのかな?」
それは確かに実在する建造物だ。この街に住む者なら、例え子供でも知ってるはずの建物。
「そうだよ。ここをず〜っと真っ直ぐ行って…」
真一が指先で前方を指した。…今だっ!
「!?」
俺は真一の手首を掴み、強引に車内に引き込んだ。俺の膝の上まで引っ張り、急発進してその勢いでドアを閉める。
「騒ぐな。おとなしくしろ」
これだけはやりたくなかった。用意したナイフを左手で握り、真一の方に刃を向ける。こんな事しなくたって俺達は愛し合える仲なんだ。本当にしたくなかった。だが万一、大騒ぎされても困る。最初が肝心だ。
「…!」
震えながら刃先を見つめる真一。そう、おとなしく座っててくれ。わかるよな?ヘタな真似したら…このナイフがお前のお腹に突き刺さるって事くらい…。


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