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破滅遊戯
首輪
「どうして嘘をついたんだ?」
「…ごめんなさい」
「謝れとは言ってない。なぜ嘘をついたのかと聞いてるんだ」
「…」
僕は何も言えなかった。何を言っても叱られると思ったからだ。
「君みたいに反省しない子も珍しい。やはりご両親と学校に連絡すべきだな」
「やめてっ!」
僕はすぐ懇願した。
「ごめんなさい!本当にこれからは嘘つきません!」
「ダメだ。君は内緒にすると約束したおじさんの好意を裏切ったんだからな」
おじさんは部屋の隅にある電話の方に向かった。僕は反射的におじさんにしがみついた。
「ごめんなさい!許して下さい!何でもしますから!」
必死だった。我を忘れて泣きながらそうすがった。
「…何でもする…だと?」
「…はい」
「ふむ…」
おじさんはとりあえず電話から離れた。
「来週から夏休みだな?」
「はい…」
「それでも平日はご両親とも仕事で家には君一人か?」
「はい…」
その通りだ。春休み、夏休み、冬休み…僕はいつも留守番しなきゃいけない。もちろん、カレンダーの赤日の時はお父さんもお母さんもお仕事は休みだけど。
「夏休み最初の日、朝10時にまたここへ来なさい」
「え…?」
「もう一度チャンスをあげよう。その日、一日反省会だ」
え…丸一日?
「宿題を持ってきても構わないぞ。だがとにかく君の根性を叩き直してやる」
その言葉に僕は震えた。何をされるんだろう…?
「心配するな。叩き直すと言っても痛い事をするわけじゃない。むしろ精神面の話だ」
それを聞いていくらか安心したけど…やっぱり少し怖かった。そして…また後悔した。つい一週間前に激しく反省したばかりなのに…。僕はきっとこれを最後にする、と自分に誓った。そして今日また嘘をついた罰を受ける覚悟で、その日しっかり反省しようと決めた。
「必ず来ます…」
「よし、じゃあ今日はもう帰りなさい」
僕はトボトボ歩いて家に帰った。…あれ?確か『今日中に拇印が』って言ってたのに…。それ程重要な事じゃなかったのかな…?

そして夏休み初日。僕は約束通り、朝10時におじさんのマンションに来た。宿題は持たずに。インターホンを押すとおじさんが現れる。
「ようし…ちゃんと来たな…」
おじさんの表情が少し怖かった。怒ってる、というよりも不気味な感じがした。中に入ると、おじさんはドアの鍵を掛けた。僕は身の危険を感じたけど、おまわりさんが悪い事をするとは思えず奥へ進む。今日は特別、変な臭いはしなかった。
「こっちに来なさい」
呼ばれた先は、この前あの臭いが出てると思った隣の部屋だった。中には何もない。
「…?」
いや、長い鎖がジャラリと置かれていた。僕がその部屋に入ると、おじさんはドアを閉め、そこにも鍵を掛けた。
「!?」
今度こそ危険を感じた。間違いなくおかしな事をされる、という気配。振り返ると、おじさんが僕を見下ろしてる。
「服を脱げ」
「えっ…?」
「聞こえてるのにいちいち聞き返すな」
今までも少しおかしい人、と思ってたけど、今日は明らかに変だった。
「この前みたいに服を脱いで裸になれ」
言う通りにしないと殺されるんじゃないかと思った。おじさんはそういう目をしていた。僕は恐怖に震え上がり慌てて着てる物を脱いだ。恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。全部脱ぐとおじさんは僕の肩を抱いて部屋の隅、鎖のある方へ連れて行った。
「目を閉じろ」
僕はすぐに従う。
「動くんじゃないぞ」
そう言われても体の震えは治まらなかった。
「!?」
ジャラッと鎖の音が聞こえた。それで鞭みたいに叩かれるかと思い、更に震えた。そして首に何かを当てられたけど、怖くて目を開けられない。ベルトのような物を巻かれてる。これはまるで…首輪…?


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