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破滅遊戯
反省文と身体検査
「本当にもうしないと誓えるか?」
見逃してもらえそうな雰囲気になったと思った。
「誓います!」
「ふむ…」
おじさんは掴んでいた手を放した。
「じゃあ本屋に行くのは勘弁しよう」
…助かった…。命拾いってのはこの事だと思った。
「ただし、おじさんも警察官だから、何もせず放っておくわけにはいかない」
お父さんに知られないなら何だってしてもいい。
「本当なら警察署まで連れて行く所だが…」
まさか牢屋に入れられるの…?
「遠いからおじさんのマンションまで来なさい。すぐそこだ」
おじさんの家…?一体なぜなんだろう…?
「そこで反省文を書くんだ。もう絶対にしない、っていう誓約書と言ってもいい」
何だ…そんな事か…。見逃してもらうんだからそれくらいどうって事ないと思った。今考えれば、その時におかしいと思わなければいけなかったんだ。でも僕は見逃してもらう為に必死で、少しもおかしいとは思わなかった…。

おじさんのマンションは歩いてすぐの所にあった。つまり僕の家からも割と近いって距離。部屋に入ると少し変な臭いがした。散らかってるわけでもないのにどうして臭いんだろう、って気になったけど、おじさんに机に向かって座るよう言われて考えるのをやめた。
「この紙に住所と名前と電話番号と学校名、あと学年とクラスを書きなさい」
おじさんは机の上に白い紙とポールペンを置いた。僕は正直にすべてを書いた。
「よし、じゃあ続けておじさんが言う事をそのまま書きなさい」
ここからが反省文みたい。
「私、渡辺和人、カッコして盟新小学校6年2組在学は…」
わからない漢字はひらがなのまま書いたけど、おじさんは何も言わなかった。かなり長い内容だったけど、それはまさしく反省文で『もう二度としません』とか『嘘をつきません』とか『反省しています』とか書かされた。最後に今日の日付を書いたらおじさんが紙を手に取り、声を出してそれを読んだ。僕は本当に反省していた。この先、もう二度と物を盗んだりしないと誓う。
「これでいい」
よかった…。ようやく自由になれる。
「もう懲りただろう?もしおじさんじゃない警察官だったら今頃は警察署で…」
そこからのお説教もまた長かった。でもうんざりした顔をするわけにもいかないから、僕は黙って聞いた。
「こっちの本はお金を払ったんだから持って帰ればいい。盗んだ方はおじさんが本屋さんに説明して返しておくからな」
「はい」
「それから最後に…」
え?まだ何かあるの?
「そこで服を脱いで裸になりなさい」
「…えっ?」
聞き間違いだと思った。
「他に何も盗んでないか身体検査しなければいけないんだ。これは規則だ」
そんな規則、ホントにあるのかな…?
「僕、もう何も盗んでないです…」
「でも君はさっき平気で嘘をついただろう?信用してあげたいが…帰らせる前の身体検査は規則なんだ」
「…」
やたら規則規則言うと余計怪しく思えた。でもここで逆らうとまた長引きそうだし、素直に従う事にした。Tシャツを脱いで上半身裸になる。
「ズボンもだ」
仕方なくハーパンも脱いだ。おじさんはそれを受け取り、ポケットの中を調べる。
「パンツも脱ぎなさい」
えぇっ!?まさかそれも…?
「規則だ」
そんな…。
「早くしなさい。ここで脱ぐのと、人がいっぱいいる警察署で脱ぐのとどっちがいい?」
そう言われたら従うしかなかった。僕はパンツに手を掛け、ゆっくりと脱いだ。


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あきゅろす。
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