短編 彼が死んだ日=死神の誕生 天気は晴れ、気分は雨。 突然過ぎるから、俺は黙り、彼女は泣いた。 その日は、めまぐるしい程の晴天だった。 死神の恋人 多分、とか いつか、とか 曖昧な言葉は好きじゃない。 勿論、その中には奇跡と言う言葉も入ってて… 長年行きたこの地球では、奇跡という曖昧な現象をよく耳にするけど、ならば奇跡で人が生き返るのかと問えば、そうではないと言う。 奇跡が起こるなら、人が死んだ時にもう一度、生を授かってもいいだろう。 五年前に起きた事故から親友を返してくれてもいいだろう。 だけど、現実は甘くない。 それを理解していたからこそ、俺は独りでも耐えられた。 生きて来れた。 だけど… …それでも、 こういうのは、奇跡ではない。 あり得ないのだ。 死んだ筈の親友が、俺の命を取りに来た。 死神という名目の元に…。 愛しい君の姿を被り、優しい君の面影もなく、残酷に、冷徹に微笑んでみせた。 今夜、俺は死ぬんだと ‐死神の誕生、それはいつ?‐ [*前へ][次へ#] [戻る] |