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夢訪問(夢幻の双刃サンプル)
夢ー2
休憩時間になると仲のいい者同士が集まるが僕は基本的に一人で本を読んでいる。
亜岐の頃は授業をさぼったりクラスメートと口をきいたかと思えば見下した態度だったり最悪相手を殴ったりしていたからそれに比べればマシになったように見えると思う。
 今日も誰一人関わろうとすることなく時間は過ぎて行く。部活に入っていない僕はそのまま家に帰宅する。そして家の道場で無喰と戦えるための特訓をする。これが僕の日常だ。

 血筋だから誰かの夢に潜ることは出来るが戦えるまでの力がまだ十分でない僕は特訓の一つとしてときどき無差別に誰かの夢の中に潜る。今日もいつもと同じように布団に入ると誰かの夢へと飛び込んだ。

「あれ?斎先輩?もしかしてお仕事なの?」
 そんな声がふってきて上を見ると未沙が僕の目の前に降りてきた。どういうわけか学校の制服を着ている。そして僕も制服だ。
 仕事として潜るなら代金をもらうわけだし正装したりそれなりの武器を持ったりする必要があるけど、化物退治に行くわけじゃないからこれが一番しっくりくると思う。
 万が一のために木刀を持ってきたけどこれは使う機会なんてないかもしれない。
「仕事というか無差別に誰かの夢に飛び込んだんだけどもしかして未沙の夢かな?」
「う〜ん?でも眠ったばかりなのにはっきり夢の中ってわかるなんて珍しいかなぁって。」
 確かに。それにこの子は以前に偶然とはいっても一時的に僕と同じ力を使えたのだから何かあるかもしれないな。

 もしかしたら元は同じ血筋だから繋がりがある同士引かれたのかもしれない。
「少しこの辺りを歩いてみようか。」
 夢の中は現実と違っていきなり状況がかわる事があるから一緒に行動した方がいいだろう。
 それにしてもこの夢は花びらが舞っているな。これは桜か?
 夢の中とはいえこう穏やかだと僕が潜る先としては平和過ぎるかもしれないな。未沙は楽しそうな顔だから良しとするか。
 なんて思ってたら男の悲鳴が聞こえてきた。
「斎先輩!行こう!」
「ああっ!」
 声のする方に僕たちは走り出す。夢とは便利で現実ではありえない速さで僕たちは風を切って駆けていく。


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あきゅろす。
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