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宵々町奇譚〔学園祭編〕
学ー7
いつもはっきり言う昌都君がここまで言葉を濁すなんて珍しいね。その他のことは色々答えてくれるのにお化け屋敷のことだけはだんまりになるし、しまいには聞くより行け!だなんてキレるしとてもじゃないけど取材のネタにもならない。行くしかないかな。これは怖いというよりも態度が気になってきた。
「なるほど。面白そうですね。これは真相を確かめなければなりませんね。」
「麗斗君っいつから聞いてたの?」
「ちょうどひと段落ついた頃に昌都がキレてるのが見えたのですよ。」
 ただでさえ昌都君は目立つのに大声だしてたら余計目立つよね。
「仕方ないね。行こう。」

 休憩時間になると僕たちはさっそくお化け屋敷に向かう事にした。
「手を繋いで行きましょう。」
「う、うん。」
 廊下はいつも以上に人が居るからその方がはぐれなくていいかも。なんて思ってた僕が甘かった。なんせ相手は麗斗君だ。恋人繋ぎされた!
「この方が女の子が寄ってこないから動きやすいですよ。」
 笑顔で言ってるけど僕いつかファンのコに背後から刺されたりしないよね!?だってあらゆる所から悲鳴が聞こえて一部の女の子たちが膝から崩れ落ちてる!それだけショック受けるなんてどれだけ麗斗君の事好きなの!?
「公式に殺される!ありがとうございます!」
「尊いっっヤバすぎるっっ!」
 何だろう?みんな日本語なのに意味がわからない。
 喫茶店ではあんなに話しかけられていた麗斗君に女の子が一言も声をかけて来ないなんて不思議だなぁなんて思ってたらあっという間にお化け屋敷に到着した。
 教室全体が黒い布で覆われていて入り口も真っ暗。いかにもって感じだね。
 昌都君は何を見たんだろう。
 僕らを脅かしに妖怪や幽霊の格好をした先輩たちや仕掛けは割と怖いけど麗斗君がしっかり手を握ってくれているから怖がりの僕でもどうにかやり過ごせそうだ。
 自分大好きなのに気遣いができて、周りからも信頼されていてカッコいいだなんて世の中不公平だ。


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