宵々町奇譚〔学園祭編〕
学ー10
トラブルはあったけど学園祭は無事に終わりそうだ。後は使った看板などの木材やポスターなどの紙を燃やしてその周りで生徒たちが踊るキャンプファイヤーだけだ。僕も女装を解いて学ランに戻れて一安心だ。
「ねぇこれからのキャンプファイヤーってダンスするじゃない。そのパートナーと結ばれるって言われているそうね。3人とも相手はいるかしら?」
ビーナさんが笑顔で聞いてきた。学園祭の前に色々な男子に声を掛けられているところは見たことあるけど決まった相手いるのかな?
もちろん麗斗君も沢山の女の子に声を掛けられてるらしいけど・・・・・
「俺女子にあまり好かれてねぇからなぁ。そういうビーナこそいるのか?」
ビーナさんの質問に僕は首を横に振って昌都君は聞き返してきた。
「お気の毒様。私は決めてないだけよ。そうねぇ・・・私が相手になってあげるわよ?」
「お前言い伝え知っててその気もねぇ俺に声かけるのかよ。」
昌都君呆れた顔してる。
「あら私は愛の女神よ?そんな言い伝え通りになるとでも思ってるの?」
「おいおい学校の伝統行事にケンカ売る気かよ。その心意気嫌いじゃねぇぜ。相手になってやろうじゃねぇか。」
何で二人ともケンカごしなの?噂になっても知らないよ。
でもこの伝統行事ってベタ過ぎて胡散臭い気がするけど盛り上がるならいいんだろうか。
そんなことを考えていたら僕の右手が掴まれて目の前に麗斗君が立っている。
「茂、私と踊っていただけますか?」
僕としては全校の女の子たちを敵に回したくないから断ろうと思ったけど、なんでイケメンオーラフルで出してるの!?そんな攻撃ズルい!眩しくて断れないよっっ
「おっお願いしますっっ」
迫力に負けて敬語で承諾しちゃったよ。
この学園祭で僕らはいつも以上にベタベタしてた気がするし、女装してたとはいえ恋人繋ぎで校内練り歩いたから噂になるのは待ったなしだ。
それでもこのイケメンの幼馴染みを邪険に出来ない僕も僕なんだろうな。
〈終わり〉
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