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鎖国


「…………」

一行から一歩手前に出て辺りを見回していた郁が、ふと口を開いた。

「明かりだ。一つ、二つ――……」

遠くに目を凝らせば、確かにいくつかの灯火がゆらゆらと揺れていた。
暫しの沈黙の後、さあっと壱伎の顔が青ざめる。

「あ、あれ……同心(どうしん)じゃないの?」

『だろうねぇ』

あくまでも態度を崩さないのか、斎が適当な相槌を打つ。
燈永も頷くが、郁だけが何のことか分からない、といった様子で壱伎達の会話に聞き耳を立てていた。

「やばいよ、逃げないと捕まっちゃう」

「……逃げる?」

「あれ、ひょっとして分からない?……えっと、説明してる時間はないんだ!」

首を傾げる郁に、簡潔に説明する言葉が無い壱伎は慌てたように告げた。

『……まあ、異人に子供に変な狐ときたら嫌でも捕まるさ』

『……阿呆の鬼は放っておいて、さっさと退くぞ、郁』

変な、が気に障ったのか、言葉に刺々しいものを含ませ、燈永が駆け出す。
しかし、未だに状況が把握出来ずにいる郁は、立ち往生していた。
壱伎は慌てて彼を引っ張り、その場を立ち去る。急ぎ小道に入って、大通りの様子を窺う。



 

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あきゅろす。
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