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忍たま2
お願い。
前足をあげた狼。
目を閉じた私。

でも、いつまで経っても予想していた痛みはこない。

死ぬ時は痛いってことを知ってる。
だって、前は痛かったから。
痛くて痛くて、流したくもない涙が流れてきて…。
それを見て嘲笑う“奴ら”が、とてもとても、憎かった。


「…どうして?」

目をあけて目の前で足を止めた狼に問う。
クゥンと鳴く狼は、ぺろりと私の頬を舐めた。

そして寄り添うようにその場に座ったんだ。

「どうして」

再び問うた。


理解が出来ない。
この子は私を襲わないのだろうか。
私は、なぜ生きている?

「お願い」

私を食べていいから、私を殺して構わないから。
だからどうか、この世界から私という存在を消してよ。


ペロペロと手を舐めてくる狼に、私は懇願している。

「もうね、嫌なの」

全部が嫌なんだ。


だから、

「どうか私を」

私を…。

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あきゅろす。
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