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忍たま2
イラナイ
やってしまった。
ついにバレてしまった。

「やっちゃったよオイ」

部屋で頭を抱える。


あまりに一方的に言ってくるもんだから思わずキレてしまった。

そう、私は男が大っ嫌いだ。
それくらい嫌いかっていうと、肩に手を置かれたら思わず肘鉄喰らわせて背負い投げかますくらい。
話しかけられても半径3mには近づきたくないくらい大嫌いだ。

いや、今はそんなこと言ってる場合じゃない。
迷惑かけないようにさっさとここを出て行こうとする前に、隠していた事がバレてしまった。
おまけに生徒を背負い投げしてしまった。
必死に隠していたのに、あのクソガキの所為で全部パアだ……違う違う。
私の忍耐力が不味かったんだ。
いや、でもあのガキも悪いような…。


などと悶々していると、

「ユイさん? 入るわよ?」

シナさんが来てしまった。


私は何と言っていいか分からなかった。
「ごめんなさい」? それで済む問題か?

口篭っていると、シナさんが口を開いた。

「聞いたわよ」

「…」

「六年生を投げ飛ばしたそうね」

「っ…すみません」

「男が、嫌いだったのね」

「はい」

そこで、会話が途切れる。
私はシナさんの反応が怖くて何も言えない。

でも、言わなきゃいけない。
自分の口で言わなきゃいけないんだ。

「っ私は前にいたところで色々あって、男がダメなんです。半径1m以内に来れば思わず手が出てしまうほどに」

「そう」

「ここに来た時、私が忍たま長屋を嫌がったのはそれが理由です。お世話になる身で、危害を加えるとマズイと思ったんです」

それだけ言うと頭を下げた。

「お騒がせしました!」


シナさんはしばらく黙ったままでいたが、やがて私に顔を上げるように言った。
見ると、シナさんは戸惑っているようだ。

「ごめんなさい。謝るのは、私の方なの」

「はい?」

「私は、やっぱりどこかで貴女も他の天女様と同じなんだと思ってた。今は取り繕ってるだけだと…」

「……」

「その内、また変な術を使って忍たま達を誑かすんじゃないかって、疑ってたの」

愕然とした。

なんだ。
最初から、私の味方なんていなかったんだ。

いや、分かってた。
私は異物。
この世界に必要のない人間。

違う。
私を必要とする世界なんてない。
前だってそうだったじゃないか。
私はイラナイからあの世界から排除された。
誰も彼もが私を邪険にする。

いらないイラナイいらないイラナイいらないイラナイいらないイラナイいらないイラナイ。
私は、イラナイんだ。

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