めぐりめぐって 当たり前に戻るため 重たい目蓋を持ち上げて、耳元でがなり立てる目覚ましを叩く。 静かになった部屋の天井を見つめてから、すぐに起き上がる。眠気を振り払うように目元を擦り時計を見ると、短針は6を指していた。 「……6時、かぁ」 予想以上に早起きできたことに感嘆の息が漏れる。うん、初日にしては良いスタートだ。 目覚ましをオフにして、私はベッドから這い出た。 乱れたシーツを丁寧に伸ばしていく。落ちていた髪の毛なんかをゴミ箱に捨ててから、掛け布団を畳んだ。 ある程度の片付けを終えたので、時間割の確認をすることにする。 一応後期からの時間割表は貰ってはいたから、どこにしまったかが問題だ。たしか、学校で使っていたファイルに綴じた気がする…… 久方ぶりに手をつけたファイルは薄っすらと埃を被っていた。 はたいてから中を見ると、綺麗な時間割表が入っていた。整理整頓をしておいて良かったと安堵する。 火曜日の時間割通りに教科書を棚から出して、簡単に準備は終わった。ふう、と一息つくと、現実が重苦しく私にのしかかってきた。 本当に、今日、学校に行く。 そう思うと怖くて震えそうになるし、今すぐ布団の中に潜りたくなる。 でも、ここで逃げたら駄目なんてことはよくわかっていた。高校にすら行けないで中卒で終わるなんて、親は許さないし私も許さない。 出来るだけ深く息を吸って、私は両頬を強く叩いた。振動が伝わって、弱気になっていた心が絞られる。 ……よし、大丈夫だ。 落ち着きは取り戻したし、次に何をするか考えよう。 まずは、シャワーを浴びてご飯を食べなきゃ。 パジャマのまま廊下に出ると、凍るような床の冷たさに悲鳴が漏れた。 足の裏から伝わったそれは頭の奥にまで突き刺さる。これはもう秋も終わりがけといえる。 寒いしさっさと入ろう。ストーブをつけておけば、シャワーを終える頃には室内も暖かくなっているだろうし。 制服を持ってお風呂場に入れば、予想通り寒さが凄まじい。 ストーブをつけてから、体が冷え切らないうちに服を脱いだ。 約15分後、私は久しぶりに制服を着て、髪を乾かしていた。 少しウエストがキツい。身から出た錆だけど、やはり太ったことを実感するのは悲しいものがある。 鏡から目を逸らしながら、私はブラシで寝癖のあったところを丁寧にとかした。 ドライヤーのおかげで癖は直され、私にしては珍しい真っ直ぐな髪になった。 ……そういえば、不登校になってからドライヤーをしたことがなかった。それでは寝癖がついて当然だ。 自分の女子力のなさに呆れつつ、ご飯を食べるためにダイニングへと向かった。 ────────────── トビが書きたいです 次話では出せるはず……_:(´`」 ∠): [*前へ][次へ#] |