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サロン・ド・六道へようこそ


Buon giorno!
ご機嫌いかがですか?六道骸です。
クフフ。実は今日は僕のお店『サロン・ド・六道』の開店日です!
お客様が来て下さると嬉しいのですが……。


……………

1時間後

………………

3時間後

………………………

……………………………


来ません!お客様が来ません!場所(黒曜ヘルシーランド)が悪かったのでしょうか?
こうなったら仕方ありませんね、捕まえに行きましょう!

















サロン・ド・六道へようこそ















と言うわけで並森にやって来ました。

「…!?むっ骸!?」

おや、早速エモ…お客様を見つけましたよ!

「なに一人で喋ってんだよ!ていうかなんでこんな所に?今水牢にいるはずじゃ……」

「お久しぶりですボンゴレ。僕を誰だと思ってるんです?体なんてどうとでもなります」

「そ、そう……」

さて久しぶりの再会につもる話もありますが、とりあえず取り巻きが居ない今のうちに拐っ…いや着いてきて頂きましょう。

「と言うわけでボンゴレ…」

「い…嫌だ!俺は行かないからな!」

「おやおや、こんな所で駄々っ子ですか?並森の生徒達が笑ってますよ」

「笑ってるんじゃなくて他校生のお前が校内にいるから不審がってるんだよ!」

「そうですか。では行きましょう!」

丁度お友達も来てしまったようですし、いざ黒曜ランドへ!

「ギャー!獄寺くん山本ー助けて〜!」

「じゅ、十代目?!」

「ツナ〜!」















*****















「で?」

「はい?」

黒曜ランドに着くなり、憮然とした表情で彼が声をかけてきました。

「何ですかボンゴレ」

「何ですかじゃないよ!なんなんだよこんなとこに連れてきて!しかもBGMがクフフのフなのがすごい腹立つ!」

「テンション上がるんですよ、僕が。連れてきた理由は見て分かりませんか?」

僕の言葉に渋々といった風に室内を見回す彼。

全身を写す鏡に、360度回るイス、道具が置かれたワゴン、ちゃんと洗髪台も用意してある。

「な、なにこれ…?」

「クフフ。美容室ですよ」

「はあ?!」

僕はこだわり派なので、きちんと揃えさせました。犬と千種に。

「自分でやったんじゃないんだ?!」

「当たり前じゃないですか」

僕はこだわり派ですが面倒は嫌いです。

「そういえば並中を襲ったときもほとんど二人にやらせてたよね…」

「……………」

「しかも卑怯な手を使おうとしてアッサリヒバリさんに負けたんだよね」

「……………」

「その上」

「もう勘弁して下さい!…犬!シャンプーお願いします!」

彼の嫌味に堪らず犬を呼ぶ。
沢田綱吉、結構根に持つタイプなんですね…。

「げっ!骸さん、客ってこいつなんれすか?」

犬がボンゴレを見るなり嫌そうな顔をした。それはボンゴレも同じようで「ぅげ」と不満を洩らしている。

「そうですよ。はい、シャンプー入ります」

「……ちっ、シャンプー入ります。こちらへどうぞ」

犬は渋々ボンゴレを洗髪台へ案内すると、動物の歯から一組選んでセットした。
僕はシャンプーの間、隣の部屋に行って紅茶でも飲んでましょうかね。

「ちょっ、それなんの歯?!」

「あ?なにって、アライグマらけど?」

「ええー?大丈夫なの?」

「うるへー黙って洗われてろ!」

「ギャー!!」

何か悲鳴が聞こえた気がしますが空耳ですかね。

「痛っ!なんか痛い!」

「あぁ?」

「ちょっと、爪伸びてんじゃん!」

「こいつうるへーぴょん!!」

「痛ーっ!!!?」

……そういえばアライグマって、某アニメとかのイメージと違って凶暴でしたっけ。

「……………」

ガチャン、バッ!!

「いたたたたたっ!」

「犬!止まって下さい!」

「骸さん?なんれ止めるんれすか」

「良いから、もうあっちへ行ってなさい」

しっしと手で払うと、何か言いた気にしながらも犬は渋々戻って行きました。
全く、お客様に爪を立てるなんて躾が足りませんかね?

「ボンゴレ大丈夫ですか?」

「う、うん。頭皮が傷だらけになるかと思ったけど」

まあ無事そうですね。

「さて、じゃあカットしていきましょうか♪」

「なんか楽しそうだね…」

「それは…楽しいですよ」

「超直感が警告するんだけど、止めて良い?」

「ダメです」

全く、この期に及んでまた駄々を捏ねる気ですか。
あぁ、カットの間暇だからでしょうかね?

「違うから」

「退屈しないように愉快な幻覚を見せて差し上げますよ」

「要らないから幻覚怖いから地獄道発動しないでくれる?ねぇちょっと聞いてる?」

鏡に映る僕の赤い右目の数字が一を示す。

「良い幻覚をボンゴレ」

「マジか!」

茶色い頭が下を向いて幻覚の夢に落ちたのを確認してから、僕は作業に取り掛かった。















*****














「はい出来ましたよ〜」

数十分後、彼の髪の出来に満足して僕は幻術を解く。
クフフ、我ながら良い出来だ。

「……う〜ん、…もうパイナップルは嫌…ってハッ!!」

「おはようございますボンゴレ」

「骸お前!最悪な幻覚見せたな!」

「おや何の事です?」

目覚めてすぐ騒々しい人ですね。折角セットした髪型が崩れるじゃないですか。

「そうっ!髪型が俺の知り合いみんなパイナップルになってた!!」

「…クフフフフフ」

「なっ、何がおかしいんだよ」

愉快ですねぇ。
僕は鏡を指差して見るよう促した。

「……………な…………なーーッ!!!?」

指を辿って鏡を見た後数秒固まって、彼は絶叫した。僕はすかさず耳を押さえる。

「喧しいですよ」

「……な、な、何してんだお前ー!!」

「クフッ。アレンジしてみました」

「しなくて良い!」

おやおや。随分な態度ですね。

「当たり前だろ!パイナップルにされたんだぞ!!!」

そう。彼の髪型は僕と同じ。

「重力に逆らって四方八方飛び跳ねるあなたの髪には大層骨が折れました」

「悪かったな!なんかそのせいで髪の毛ガッチガチだし!何でよりによってこれなんだよ変態!」

「……随分な言われようですね。まあ良い」

普段パイナップル、パイナップルと馬鹿にされて心外な僕は、この髪型がいかにオシャレかを知って頂く為にこうして強行手段に出たのです!

「君は記念すべき第三号ですよ!」

「三号ってなんだーっ!?」

一号(犬)と二号(千種)が居ると言う事です。

「犬さんナッポーだったの?!気づかなかった…」

勿論その先も増えますよ?

「なっ…!ま、まさかさっきの夢は……!!」

「クフフフフフ。そうです、僕の野望です」

「最悪だー!!」

何が最悪なものですか。
文句を言おうと口を開けたその時、騒がしく何者かが侵入してきました。…まぁどなたかは大方見当がつきますがね。

「十代目ー!ご無事ですか?!」

「ツナ助けに来たぜ!」

「獄寺くん!山本!」

…やはり。獄寺隼人、山本武、彼らを見てボンゴレの目は輝いた。
しかし逆に二人の表情は固まりましたねぇ。

「……ツナ?」

「じゅ……十代目がぁナッポーに!!」

獄寺隼人の歓喜の叫びに、ボンゴレも嬉しそうに笑って……

「るわけないだろ!!」

「チッ」

「…今舌打ちしたよね?」

「なんのことでしょう」

「十代目ぇ!」

その時獄寺隼人が必死の形相で詰め寄って来たので、ボンゴレはヒッと顔を引きつらせた。

「ご、獄寺くん…近い」

「十代目!そのあああ頭は変態南国果実にやられたんですか?!」

おやおや…そんなに肩を揺すったらボンゴレが失神してしまいますよ。

「ごくでらくん…くるし」

「はっ!!すいません!つい!」

「…クフフ。ちょうど良い、あなた達も同じようにしてさしあげましょう」

僕の言葉に、ボンゴレの肩を掴んだまま獄寺隼人が睨み付けてくる。

「あ?」

「……あ!!そうだよ獄寺くん!あいつがとんでもないことを!」

「なんすか?」

「みんなをナッポーにするって!!!」



「「そりゃ聞き捨てならねーな」」



ボンゴレの言葉に声を上げたのは、先ほどからずっと黙ってやり取りを見ていた山本武と……

「おやアルコバレーノ、居たのですか」

「ああ。骸、お前下らねぇこと考えてんじゃねぇぞ。ツナは良いが」

「良くねーよ!」

「とばっちり食う前に止めさせてもらうからな」



「ツナが」



「俺かよ!」

ツッコミ要員のボンゴレは放っておいて。皆武器を構えだしましたか…四対一では少し分が悪いですねぇ。

「犬!千種!」

お揃いのヘアスタイルに満面の笑みを浮かべながら二人は喜んでやって

「来てないから!かなり不機嫌だから!お前勝手なナレーションするのもいい加減にしろ!!」

…とボンゴレは必死で否定したが二人はやはり嬉しそうに

「してないれす」

「骸様……めんどい」

「おや」

もしかして反抗期と言うものですか?せっかく皆お揃いの髪型にしたところだと言うのに。

「それがダメなんだろ?なんたってパイナップルだからな」

山本武…良くもまあそんな爽やかな笑顔で僕達を貶しましたね。

「骸様、一緒にしないで下さい」

「俺もうや〜めた」

「え。ちょ、ちょっと犬!」

そんなグシャグシャワシワシしたら自慢の髪型が……!!
あああ、千種まで!

「あースッキリしたぴょん!」

「自分に戻れた」

「良かったな、でも結構似合ってたぜ」

「げ。止めろっての」

「さあどうする骸。こいつらも今回はこっち側だぞ」

…………………

「フ」

「む、骸?」

「クフフ………クハハハハ!!」

「?!」

「げ、ヤバい」

「骸様の高笑い…!」

皆パイナップルと馬鹿にする。

「あぁそうですかそうですか」

皆僕の敵。

「結構結構。一向に構いませんよ、えぇ。クハハ」

「なんだこいつ!?」

「キレたな、面倒だぞ」

三叉槍を手に。右目の赤は…そうですね、修羅道で良いでしょう。

「クフフ。さあかかってくるが良い!皆パイナップルにしてくれましょう!」

何かが吹っ切れた僕が口角を上げると、ボンゴレと目があった。彼は既に目的の髪型なので対象外なんですが……そんなに怯えられると加虐心が煽られます。クフ。

「ヒィッ!!リリリリボーン!どうしよう?!」

「ビビってんじゃねぇ。オメェが何とかしてこい」

ズガン!!

「……死ぬ気でパイナップルを壊す!」

「十代目、俺も行きます!」

「面白そうなのな。むしるぞ〜」

壊す?むし…っ?!
え、ちょ、えっ?!
何か方向がおかしくないですか??

「骸さん、今回は許してくらさいね」

「くっ!またパイナップルにしてあげますよ」

「……めんどいな」

「ちょっと千種!めんどいって何ですか?!」

まあ良い、良いですよもう。

「来なさい!」

「「「「「うぉぉぉ…!」」」」」

























その後の僕達ですか?
……言うには及びませんよ。
そっとしておいて下さい。
ただそうですね、サロン・ド・六道は一日で閉店した、とだけ言っておきましょうか………。







end*

最後の挿し絵に載っていなかったリボーンと千種は既に離脱済みです(笑)
ツナと犬はナッポーに。
獄寺はツナがナッポーなのに慌ててます。
骸は頭頂部をむしられたうえ若干前髪をパッツンにされてます。
山本は骸の頭頂部にあった髪を持ってます(笑)




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あきゅろす。
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