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「…君さぁ、跡、付けないんだね」

放課後の応接室で、乱れた制服の襟を正しながら細やかな疑問を呟くのは、その部屋の主と言っても過言ではない地位に立つ雲雀恭弥だ。

「キスマーク、ですか?」

「うん」

そして同じように衣服を正しながら応じる、髪型と目の色に特徴を持つ他校生の六道骸。

「そうですねぇ…所有印なんて安直過ぎます。そんなものを付けなくても僕は君が僕のものだという確信がある」

もの、という単語に反応して眉を寄せつつ、雲雀は揶揄するように鼻を鳴らす。

「随分自信があるんだね」

「…えぇ、それに」

骸はそれに困ったような笑顔を見せてから、一旦言葉を区切った。

「それに?」

焦らされるのを嫌う雲雀が先を促し、また言葉を繋ぐ。

「それに、あなたの困るような事はしたくありませんから」

その言葉の意外性に目を丸くした雲雀が二度ほどパチクリと瞬きを繰り返し、少しだけ滅多に崩さない表情を和らげた。

「…ワォ。紳士気取りかい?」

「そうですよ。ただ、雲雀君、あなたが」

オッドアイが揺らがず雲雀を捉える。

「…欲しいと望めば、別ですが」

再びほんの数秒焦らされた言葉は挑発的で。

「ふぅん?」

雲雀が距離を縮めて射抜くように見つめれば、青色が微か揺れる気がしたから、手を伸ばした。

「クフフ。僕はいつだって、君を一番に思ってますから…」

骸が甘い言葉を吐いて、二人の唇が重なった。










end*


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