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時と闇の継承者
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あまりに真剣な顔だったので、俺は妙な緊張感を持ちながら続きを待った。
俺の緊張を感じとったのか膝の上で拳を握っていた俺の手に、そっとクロの手が置かれた。
不思議とそれによって緊張は少し緩んだ。

「……6種族をさらに細かく分けると、18種属になるんだけど」

え?18って多くね?

「18種属にはそれぞれ族長や長の役割を持つ者がいて、精霊たちは尊敬や畏敬の意味を込めて『王』と呼んでるんだ」

「当然持ってる力は最強クラスだ」

リュートさんがふふんと得意げに言う。
それにコハクがフッと表情を和らげた。

「支幻殿は18種属の中で『幻』を司る精霊のトップ、つまり『王』なんだよ。だから『様』付けなんだ」

「なるほど」

コハクの説明に納得。
そして、気付いた。

「じゃあ、やっぱ様付けで呼ばなきゃダメ?」

「いや、時夜は……時夜の好きに呼んでいいぞ」

「今の間はなに!?」

リュートさんが意味深な笑顔を向けてくるので、俺は怖くなる。
『時夜は』のあとなんて言う気だったの!?

「俺なりの気遣いだったんだが」

「いやいやいや、解りにくい気遣いいらないっ、いらないからっ」

「そうか?じゃあ、遠慮なく言わせてもらおう」

「それはそれで怖い……って、え?」

リュートさんの意地の悪い笑顔が消えた。
銀の瞳に宿っていた柔らかさが消え、ひどく冷たい色を宿す。

「時夜。お前は自分が何者か理解しているか?」

それは、今まで見てきたリュートさんとは別人のような冷酷さを秘めた声だった。



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