時と闇の継承者
14
あまりに真剣な顔だったので、俺は妙な緊張感を持ちながら続きを待った。
俺の緊張を感じとったのか膝の上で拳を握っていた俺の手に、そっとクロの手が置かれた。
不思議とそれによって緊張は少し緩んだ。
「……6種族をさらに細かく分けると、18種属になるんだけど」
え?18って多くね?
「18種属にはそれぞれ族長や長の役割を持つ者がいて、精霊たちは尊敬や畏敬の意味を込めて『王』と呼んでるんだ」
「当然持ってる力は最強クラスだ」
リュートさんがふふんと得意げに言う。
それにコハクがフッと表情を和らげた。
「支幻殿は18種属の中で『幻』を司る精霊のトップ、つまり『王』なんだよ。だから『様』付けなんだ」
「なるほど」
コハクの説明に納得。
そして、気付いた。
「じゃあ、やっぱ様付けで呼ばなきゃダメ?」
「いや、時夜は……時夜の好きに呼んでいいぞ」
「今の間はなに!?」
リュートさんが意味深な笑顔を向けてくるので、俺は怖くなる。
『時夜は』のあとなんて言う気だったの!?
「俺なりの気遣いだったんだが」
「いやいやいや、解りにくい気遣いいらないっ、いらないからっ」
「そうか?じゃあ、遠慮なく言わせてもらおう」
「それはそれで怖い……って、え?」
リュートさんの意地の悪い笑顔が消えた。
銀の瞳に宿っていた柔らかさが消え、ひどく冷たい色を宿す。
「時夜。お前は自分が何者か理解しているか?」
それは、今まで見てきたリュートさんとは別人のような冷酷さを秘めた声だった。
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