時と闇の継承者
11
「はいはい、みんなその辺にして」
パンパンと両手を叩き俺たちの注意をひいたのは、この家の主だ。
「お茶を淹れたから、みんな座って」
笑顔で促され、反抗する理由のない俺たちは素直に従った。
長方形のテーブルを囲み、それぞれが席に着くと、家主は俺たちを見回した。
「さて、それじゃあ改めて」
そう前おくと、正面に座る俺を見た。
「僕の名前はコハク・カーリング。コハクって呼んで」
可愛らしく首を傾げて微笑まれても、今の俺には曖昧にしか返せないぞ。
「はぁ……」
名前と同じ琥珀色の瞳を細めて微笑む『彼』は、俺の反応に気にした様子もなく、「次は……」と視線を巡らせる。
「支幻殿」
『彼』ことコハクは、右斜めに座っている『イタイ奴』に顔を向けた。
優雅にティーカップを傾けていたそいつは、コハクの声にゆっくりカップを置いた。
「リュート・ハーネスティアだ」
不思議な色を宿す銀の瞳が俺を写す。
「リュート様と呼んでいいぞ」
「誰が呼ぶかっ」
ニヤリと口の端を持ち上げたそいつに、俺はすかさず否を叫んだ。
めちゃくちゃ真剣な顔だったので思わず緊張していた俺は、思いっきり脱力した。
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