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時と闇の継承者
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「はいはい、二人ともその辺にして。トキヤが困ってるよ」

『彼』が呆れ顔で声をかけると、妙な掛け合いをしていた二人は、ほぼ同時に俺に顔を向けてきた。

「ハッハッハ、いやなに、部下とちょっとしたコミュニュケーションを」

「せんでいいです。つーか、なんでまた若がいるんすか?」

『イタイ奴』の台詞を見事にスッパリと切り捨てた『アホの子』はビックリ顔で俺を指差した。
なんて奴だ。他人を指差しちゃいけないって親に習わなかったのか?

俺がムっとしていると、『アホの子』は、ひっと小さく悲鳴をあげると『イタイ奴』の後ろに隠れた。
どういうことだ?俺はそんなに威圧的だったろうか?

(はっ、そうか、俺の目力か!?)

だとしたら俺の目力すごいとか思ってた俺は『イタイ奴』の能天気な笑い声に現実を突きつけられた。

「クロすけ、顔が般若になっているぞ」

そこで俺は気付いた。『アホの子』と『イタイ奴』の視線の先が俺の後ろに向いていることに。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

『アホの子』はもはや呪文かと思うくらいに必死に同じ言葉を繰り返している。
よほど俺の後ろにいる人物が恐い顔をしているのだろう。

そう。俺の後ろにいるはずの『美形』が。
二人の態度から好奇心を刺激された俺は、そっと背後を振り返った。

すると、めっちゃ笑顔の美形と目が合った。

「どうかしたか?」

「…………いえ、ナンデモアリマセン」

ナゼだろう。
笑顔のはずの美形の背後から黒いものが出ているような気がするのは。笑ってるのに怖いって、まるでウチのじい様やばあ様のようだ。

じい様とばあ様のケンカは滅多にないが、とにかく怖い。二人とも笑顔だけど、雰囲気が黒い。

そんな時、俺はいつもすぐ逃げるか、とにかく謝り倒すことにしている。



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