時と闇の継承者
7
「名前を呼ぶという行為はある種の契約を結ぶことに繋がるからだ」
「契約?」
(ってどんな?)
疑問符いっぱいの俺の頭を美形がまたなで始めた。
「簡単に言うと、名前で相手を支配することができるってことだ」
「え、何それコワイ」
「な、コワイよな。だから迂闊に名乗るのはよくないぞ。特にこの辺りは」
「この辺限定!?」
「限定ではないが……まあ、そうだな、この辺では気を付けろ」
気になる間をあけて『その人』は笑った。
なんだかものすごく不安になってきた。
「不安か?」
「っ……え?」
俺の顔を見た『その人』は優しい笑みを向けてきた。
今までバカっぽい笑いか、意味深な笑みしか見せなかった『その人』の優しい笑顔に、そんな風に笑えるのだなと少し驚いていた俺は反応が遅れた。
「心配しなくても今だけだ」
俺の反応を気にした様子もなく、『その人』はまたあっけらかんと笑った。
余計わけがわからなくなった俺はまた首を傾げるのだった。
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