時と闇の継承者
4
突然抱きついた俺を、美形は抱きしめ返してくれた。
美形の腕のなかは温かくて守られているみたいで、ホッとする。
俺が心地よさに微睡んでいると、美形とも『彼』とも違う声が聴こえた。
「化け物とはひどいなー」
やたらと明るい声色を発する人物に、俺は驚いてそちらを見る。
そこには、少し癖のある黒髪の若い男がいた。
「まあ、間違いではないがな」
何がおかしいのか、その人は両手を腰に当てて朗らかに笑った。
(……誰?)
新たな人物の登場に、疑問を抱きながらも成り行きを見守っていると、その人が俺に視線を向けてきた。
俺と目が合うと、ニッと唇に笑みを浮かべる。
その笑みを見た瞬間、俺の背を冷たいものが流れるのを感じた。
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