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時と闇の継承者
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木々の隙間から柔らかな日差しが降り注ぐ森の中。
前を歩く美形の後を、『彼』と並んでついていく。

「この森は精霊の森って呼ばれていて、この世界の中では比較的精霊が多いんだ」

楽しそうに説明してくれる『彼』に、へぇ、と相槌を返し、回りを見渡すと、確かに精霊たちはこちらに興味深々な視線を向けている。
俺はその視線に親しみが込められている気がして首を傾げる。

「この辺りの精霊はまだ友好的なほうだよ」

まるで俺の疑問に応えるみたいな彼のセリフに、俺は思わず口を両手で覆った。また無意識に声に出していたのかと思ったのだ。

「ここより、もう少し奥に行くと、警戒心が強くてなかなか入らせてくれないけどね」

しかし、『彼』は気づいた様子もなく説明を続けた。
少しホッとしつつ、口から手を離すと、隣から小さく吹き出す声が聞こえた。

「………」

無言で隣に視線を向けると、笑顔の『彼』と目が合った。

「トキヤはホントに、分かりやすいね」

その言葉に多少ムッとしつつ『彼』を見る。
分かりやすいってなんだ。

「ごめんね。でも」

俺の不機嫌オーラを感じとってくれたのか、『彼』は謝罪の言葉を口にする。

そして、ふと真面目な顔をして続けた。

「悪いオトナに騙されないようにしないと駄目だよ」

「悪い、大人?」

俺が首を傾げると、『彼』は一つ頷き、森の奥に視線を向けた。





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