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時と闇の継承者
19

―Side 隼―


挑発的な態度で部屋から出るように誘ってみると、思いのほかあっさりのってきた。
案外単純かもしれない。

(ま、単純なほうが都合が……)

「お前、オレが見えるのか?」

「……ん?」

考えごとをしていた俺に、彼は開口一番にひどく間抜けに思えることを宣った。
だから思わず言われたことを反芻してしまい反応が遅れた。

「面白い質問だな」

呟くと同時に、彼の細い顎に指をかけ、上向かせる。
彼の顔が驚いた表情に変わる。

「これで、わかるかな?」

笑みを浮かべて彼の瞳を真っ直ぐ見つめる。

「っ!」

彼が俺から逃れるように俺を押し戻す。

「あ、あんた一体、何っ」

「何者かって質問なら、君にそのまま返す」

「なっ……」

絶句する彼に、俺はさらに質問を投げかける。

「君は何者で、秋吉とはどういう関係だ?」

それは、秋吉に会ってから感じていた疑問だ。

藤枝から聞いていた秋吉にはそこそこ能力があると思っていたのに、実際では期待していた以下だった。

だが、その秋吉を護るように傍にいる『彼』の存在は気になっていた。
霊を見ることはできるらしい秋吉の傍にいながら、まったくその存在に気付かれていない。だというのに、それを悲観するわけでもない様子に違和感を覚えた。

しばらく返事を待ってみたが、彼は瞳を揺らすだけだった。

(言いたくない?それとも言ってはいけないのか?)

どちらが正解かカマをかけてみることにする。

「秋吉を護るように言われているのか?」

「っ?!あ、あんたに、関係ない」

どうやらビンゴだったようだ。
彼は激しく動揺していたが、それを隠すようにそっぽを向いた。

(逆効果だって)

やたら可愛い反応に、俺は口の端をあげる。
これは弄りがいがありそうだ。

俺はゆっくりと彼との距離を縮めていった。




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あきゅろす。
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