時と闇の継承者
18
―Side アロフ―
「皆勤賞が……」
そう言って眠りに落ちる若の無防備な寝顔を、ホッとして眺める。
正直、若に体力を回復してもらいたかったオレは、若を押し留めてくれた幼なじみくんに感謝した。
(まったく……無茶をする)
こんな危険なことをしていると、クロの旦那に知れれば、最低でも一時間は説教されるだろう。
(冗談じゃない)
想像してしまったオレは顔をしかめる。
若だけなら自業自得だが、オレまで巻き込むのは勘弁して欲しい。
(というか、今回はもとはといえば、あの怪しいセンパイが……)
若の頭を優しく撫でている幼なじみくんから、扉の前から動かないセンパイに視線を向ける。
その瞬間、目が合った。
(っ!)
オレと目が合うと、センパイは口の端を上げて笑った。
やはりこの男はオレが見えている。
さっき若に言った『後ろの奴にでも聞いてみろ』という言葉。
若は幼なじみくんのことだと思ったみたいだが、あの時、若の後ろで控えていたオレはギョッとしたもんだ。
(まだ若にオレの存在を知られるわけにはいかないんだよ)
あの方の命は絶対だ。たとえ不可抗力だったとしても、なにが待っているか……考えるだけでも恐ろしい。
もう少しでバレるとこだったオレは、元凶であるセンパイを睨む。
するとセンパイは、余裕の笑みを浮かべたまま目線で外を示した。
(部屋を出ろってか?)
オレの解釈は合っていたらしく、センパイは部屋を出ていった。
(……どう転ぶかわかんねぇけど)
若のことは心配だが、しばらく幼なじみくんに任せることにして、本当にオレが見えるのか、確かめたくもあったオレは、意を決してセンパイの後を追うことにした。
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