時と闇の継承者
13
―Side 隼―
「お前は幽霊の存在を信じるか?」
藤枝を最初に見かけたのは入学式が終わった後だった。
『入学式』という面白くもない通過儀礼に出る気になれずに中庭でサボっていた時だった。
すでに日課となりつつあった幽霊談義をしていた俺に、藤枝から話しかけてきた。
『独り言が好きなんデスか?』
後ろからかけられた声に振り向くと、頬を引きつらせた藤枝がいた。
俺はまず、他の大半の人が持っているはずの守護霊の存在が憑いていない事に驚いた。
さらに、さっきまで話をしていた霊達が、こぞっていなくなっている事に気付き、思わず藤枝を凝視してしまった。
『…………』
見すぎたせいか、藤枝が一歩後退った。
だが、俺はそんな事は気にせずに藤枝に尋ねた。
『お前は幽霊の存在を信じるか?』
藤枝は一瞬驚いた後、納得したように一つ頷いた。
『YesかNoで答えるならYesです』
やけに真っ直ぐに言うので、詳しく聞いていると、藤枝の幼なじみが霊能力がある事を知った。
藤枝がやたら自慢気に話すので、俺は藤枝の幼なじみの能力が本物かどうか見極めるために一つの提案をした。
『なら、その幼なじみに協力してもらおうか。実はやっかいな霊がいて困っているんだ』
数日後、藤枝は本当に幼なじみを連れて来た。
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