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時と闇の継承者
10

「イチャつくのは後にしてくれないか」

激しく勘違い気味の高村先輩が俺たちを振り返りながら引き戸を開ける。

「誰がイチャついて……っ」

高村先輩に抗議しようと口を開きかけた俺は、引き戸の先、建物の中を視界に入れた途端言葉をなくした。

そこには、こちらを憎しみを込めた瞳で見つめている少年がいた。

思わずヒロマサの服の袖を握りしめ、慌て視線を反らす。

同時に襲ってくる激しい頭痛に顔をしかめた。

「時夜?」

俺の異変に気付いたヒロマサが今にも倒れそうになっている俺を心配そうな顔で支える。

その間もずっと憎悪の視線を感じた。
その強い想いに感応するように、頭痛は強くなるばかりだ。

『ダメだ、若っ』

誰かの警告の言葉が聞こえた気がしたが、俺はその声が合図だったかのように意識を手放していた。





―Side アロフ―

マスターたちより護衛を仰せつかったオレは、言われた通り陰ながら若を見守っていた。
マスターたちからの話でしか知らなかった若は、想像以上だった。

なにがって?
何も知らないはずなのに、普通に精霊や、よく分からない物体(幽霊)と話していたり、美形両親の子らしく容姿は飛び抜けていい。周りの人間や精霊たちからの熱の籠もった視線に気付いていないのか、総無視しているし、やっかいな事に、妙なフェロモンは垂れ流し状態だわで、マスターたちが護衛を付けたくなる気持ちがよく解った。



そんな若の元へ一人の男がやって来た。
若の幼なじみだと言う男は強引に若を連れて行ってしまった。

オレは、若が本気で抵抗していなかった事と、信頼している相手であるという態度から、とりあえず成り行きを見守っていたわけだ。

変化が現れたのは、胡散臭げな『センパイ』が出てきたあたりからだ。

そいつは、人には見えていないはずのオレの存在に気付いていた。確信しているのは、確かにそいつと目が合うからだ。
それも一度や二度じゃない。少なくとも五度以上は目が合った。

三度目以降、オレはセンパイをただ者ではないと判断したわけだ。が、若は警戒するどころか馴染んでしまっている。

オレがハラハラしながら見守っていると、センパイは怪しい建物の前まで若たちを誘導した。




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あきゅろす。
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