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時と闇の継承者
7

ヒロマサは俺を隠すように一歩前に出た。

「進藤。今日は早いんだな。いつもギリギリだろ?」

「もちろん、藤枝の悔しがる顔を見るために早起きしたに決まってる」

なんだこいつ。Sなのか?

「……」

ヒロマサは困り顔に困惑を浮かべた。
なんて器用な顔ができるんだ。

「俺に負けるのが怖くて実家に逃げたんだろ?」

「……え?」

何に負けるというのだろうか?
俺の疑問はそのままヒロマサの疑問でもあったようで、ヒロマサは意味が分からないという表情で進藤を見ている。

「ま、気持ちはわからないでもない。なんせ、俺はパーフェクトな人間だからなっ!」

「……」

ヒロマサが困った顔で進藤を迎えた理由がわかった。

――うざい。

この一言に尽きる気がした。

「いつもこうなのか?」

小声でヒロマサに訊ねると、返答の代わりのようにため息を返された。

俺はそれを肯定と受けとった。
こんなうざい奴の相手を毎日しなければいけないヒロマサに同情するのと同時に、天宮を受験しなくてよかった、と思ったことはヒロマサには内緒だ。

「文武両道、容姿端麗、まさしく完璧な俺に、勝てないと思うのも仕方のないことだ。だがしかしっ」

まだ続きそうな勢いの進藤に、俺はうんざりし始めていた。

それはヒロマサも同じだったようで、深いため息をついた。

「時夜。走るぞ」

「は?走るって」

小声で囁かれ、俺は眉を寄せた。
どこへ行くつもりだと訊ねる前に、ヒロマサはもう走り出していた。……俺の手を握ったまま――。

俺は、ヒロマサになかば引きずられながら、その場から走り去るのだった。






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あきゅろす。
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