時と闇の継承者
6
ヒロマサの爽やか笑顔から繋がれたままの手に視線を移す。
本当に、いつまで繋いでいればいいのやら。
ヒロマサは俺の視線に気付かないのか、手を繋いだままさっさと歩きだす。
……そうか。俺から離せと言えばいいんだよな。よし。
「ヒロ」
マサと続けようとしてヒロマサが急に立ちどまるので、言葉を止めた。
立ちどまったまま動こうとしないヒロマサを、下から覗き込むように見上げる。
そこには、珍しく困った顔をしたヒロマサがいた。
いったい何があるのかと、ヒロマサの視線の先を辿る。
そこには、ヒロマサと同じ天宮学園の制服を着た茶髪の男がニヤニヤしながらこちらに向かって来る姿があった。
「よう、藤枝」
鼻歌でも口ずさみそうな調子で声をかけてくる男を、ヒロマサは困った顔のまま迎えた。
「……誰?」
怪しさ全開の男の登場に、俺はヒロマサに小声で聞く。
「進藤っていって、ただのクラスメイトだよ」
ヒロマサも小声で答えた。
「へぇ。そのわりに困ってるように見えるのは気のせいか?」
「あぁ、まぁ……そのうち分かるよ」
曖昧に濁すヒロマサに、俺はそれ以上の追及を諦め、成り行きを見守ることにする。
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