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時と闇の継承者
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「お前は自分が何者か理解しているか?」

突然のリュートさんの豹変ぶりと、突きつけられた問いかけに、俺の頭は絶賛混乱している。

「あちらの世界で、自分の力を、自分が何故生まれたのかを疑問に思うことなく偽りの両親に育てられ」

『偽りの両親』と言われ、じい様とばあ様をバカにされた気がして、一気に頭に血が昇る。

「じい様とばあ様を悪くいうなっ」

気がつけば、俺は椅子を倒す勢いで立ち上がっていた。

「そりゃ、幽霊とか他人には見えないもの見えたりしていろいろ言われたりしたけど、でも、そんな俺を全部受け入れてくれて、ここまで育ててくれたのは、じい様とばあ様だ。二人を悪く言うのは許さないっ」

そこまで一気に言ってリュートさんを睨み付ける。

しばらくリュートさんも無言で俺を見てきたが、ふっと口の端を持ち上げた。
かと思うと、急に可笑しそうに笑いだした。

「な、なんだよっ、何が可笑しいんだよっ」

「いや、……」

ひとしきり笑ったリュートさんは立ち上がると、涙を拭いながら俺に顔を向けた。

「やはりお前は、あの方たちの血を継いでいるのだと思ってな」

俺に向けられたリュートさんの顔は今まで見てきた中で一番優しいものだった。

「悪かったな、お前の養い親を悪く言って」

そう言ってリュートさんは俺の頭にポンと手を置いた。



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