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極刑のお話












僕が嫌だと泣く

彼は最高だと言う











「夜、夢、闇。3つの共通点は?」



微睡みの中で囁きが聞こえた。



「知らない」



彼はくすっと耳元に吹き掛けて、僕の髪を撫でた。



「それはねぇ、エクスタシーだよ」



「エクスタシー?」



「そう。日常とは異なる論理。昼間の理性や倫理なんてないんだ」











「━━━」



名前を呼ばれて体が跳ねた。



昔、まだセックスなんて知らなかった頃に彼に言われたことを思い出していた僕の全身は、しっとりと汗ばんでいた。



「考え事?」



「ごめ…んッ!」



答えようとした言葉は、声の主の悪戯で闇に溶けていった。



「最中にそれはないよ」



ズキズキと痛む後孔には、また彼のモノが入った。



2人の境界が曖昧に融け合っている。



右も左も上も下も分からない。



訳が分からないまま彼の下に居る。



彼の、シロの指は僕の体の上でダンスする。



「ひぁッ!も、やだ、やだよ…シロ、はなして!」



紙みたいに薄っぺらな胸。



「もっと啼け」



ちろ、とのぞく赤い舌。



豆電球のせいで、シロの目はオレンジに見えた。



乳首に噛みつかれる。



痛みが何だか分からない。



痛い、が「きもちいい」なんだ。



意思に反して、何度目だかの勃起をする。



「まだ勃つんだ」



面白そうに笑って、僕の幼茎を握りしめた。



「痛ぁ!」



涙が出る。



あぁそれは、きもちいいから。



僕は変態だ。



シロに殺されたい。



アナルに入ったままのシロの凶器で、心臓まで突き殺されたい。



死んだら忘れないでくれるだろうか。



死んだら永遠に愛した記憶だけ、残してくれるんだろうか。



そうであってほしい。



そうであるなら喜んで死ぬよ。



君を汚して死ぬよ。



だから…



彼の爪が尿道を抉った。



「いッ、ああぁぁぁ!」



臍にできた何回分もの精液の池に、新しい無駄なDNAが塗り重なる。



それだけじゃ止まらなくて、ちょろちょろと漏れるアンモニア臭。



「あ、とまんな…っ」



シロはそれを愛おしそうに目を細め、眺めた。



わき腹を辿ってシーツに染み込んでいくと、僕たちの動きは止まる。











僕の漏らした尿の上で僕らは寝た。



僕はシロの胸の中。



泣いた。



優しくしないでと泣いた。

分からない
分からない
やっぱり分からないんだ。



何が分からないか
分からないんだ。

僕は頭が悪いから。



分かりたくて、両手でシロの首を掴んだ。



殺してくれないなら
殺そうか?



そして僕だけのものにするんだ。



死んだシロも愛せないと、ほんとの愛じゃない。



死なないでほしいと思ってしまったら、寂しいから一緒に居て欲しいってだけの僕のエゴになってしまいそうで怖い。



すきだよすきだよ
だいすきなんだよ



好きだから消えてなくなって欲しい。



時間に晒されて変質するより、今を保存したい。



「ころすの?」



いつの間にかシロは起きていた。



指が頸動脈の上にかかっていて、ドクドクと振動している。



凄いな、と真剣に思った。



生きていることは凄い。



心臓が動く。
考える。
お腹が減る。
想う。
目から
しょっぱい水もでる。




殺したくて、殺されたくて

だけど同時に

温かい彼と生きたい。
セックスしたい。
エゴだってなんだっていいや。

そんな気持ちになる。



こんなんだから葛藤が続くんだろう、何度でも何度でも…



「何度でも死のう」



そう言ってキスをされた。



なんだか結局分からないまま、僕は笑って尋ねた。



それ、何ていう絶頂?













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あきゅろす。
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