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5.


だから今更と言われようが、俺から手を伸ばし求めるよりも他はない。
愛を乞うより他ないことに、思い至って浮かぶ苦い自嘲。


――そんなザマで女が落ちるとでも?


嘗て俺へとけしかけた、松本の言葉がどうしたって思い起こされる。



言葉を惜しんで取りこぼすとか、愚かな男のすることです。
欲しいんでしたら、是が非でも希わなくちゃ。
腕を伸ばして必死になって縋らなくちゃ。



嘗て俺を諭した言葉が、今になって痛いほどに身にしみる。
(ああ、そうだな。本当だった)
願うばかりじゃ手に入らねえ。
この手にお前は落ちて来ちゃあくれねえんだな。
例えばどんなに無様でも、足掻いてもがいて手を伸ばし、この心の内すべてを吐露して言葉にして、愛を乞うより他ねえんだな。
嘗てお前が俺へとしてくれたように。
お前が言葉を尽くしてくれたように。
死に物狂いで口説き落とすより他ねえんだよな。
信じて貰うより他ないのだ、と。
今になって思い知る。
きっとすぐには許してなんてくれないだろう。
そもそもあんな酷い態度を取った、遠ざけるようなことばかりをした、俺の言葉を信じてくれるとも思わないけど…。
…それでも、足掻いてみせるさ。手に入れるまで。
何度だって好きだと告げて、贖罪を繰り返してもう一度、その手を俺へと差し伸べてくれるまで。
例えどれほど時間が掛かったとしても。
(きっとこの手に取り戻してみせる)



「好きだ、松本」

「今更何をと言われそうだが、すげえ…好きだった。好きなんだ」



足掻いて…足掻いて、足掻き続ける。
――その先に、再びお前と歩む未来があるとするならば。
俺は、何度だって伝えよう。








end.


そんなわけで、これにてようやっとのこと完結です。
あ。先に言って置きますが、続きはないです(汗)
まあ、たまにはこんなふたりもよかろうと、あくまでリクに基いたふたりを書いてみたお話なのでw
ちょっと遠回りしたふたりです。でもぶっちゃけ私には向いてねえですね^^;ばかっぷるがお似合いよ!
てことで、長々お付き合いいただきありがとうございましたー!!


お題:月にユダ

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