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3.



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一度箍が外れてしまえば、二度目・三度目に躊躇はないのか、あれほどダメだと制したのにも関わらず、随分と身体のあちらこちらへと跡を残されまくったような気がする。
(いやもうほんとシャレになんないんですけども!)
四日後にはまた、雑誌の撮影があるんですけども!
(まあ、水着の季節じゃないだけまだマシかしら?)
なんて思っては甘い顔を見せるから、このコドモはまた図に乗るのだとわかっていながら許容してしまう。
そんなあたしが一番おバカなんだろうな、きっと。
はああとひとつ、これ見よがしの溜息を吐いて。
ぎろんとねめつけてやる涼し気な瞳。
「なに、足んねえの?」
「ちっがあーう!もうっ!」
ぽこんと銀糸を小突いてやれば、屈託なく痛てえと笑う。
抱き寄せられる。腕の中。
ちょっと窮屈なのはご愛敬。
「あたし、今日は久々にふたりでお出かけしたいなって思ってたんですー」
「は?別に今から出掛けりゃいいだろ」
構わねえよってしれって言う。
「っもう!とーーっくにお昼も回っちゃってますー!」
ほんとはふたり、観光がてらちょっと遠出をしたその先で、おいしいものでも食べに行きたいな〜なんて思っていたのだけれど。
今からじゃとてもじゃないけど支度が間に合う筈もない。
(ええ、主にあたしがですが)
何より身体がしんどい。だるい。
二ヶ月ぶりに重ねた肌が心地よくって、どうにも離れ難くてならない。
そんな苛立ちと八つ当たり、ほんのちょっぴりの恥じらいも相まって、ぎろんとねめつけてやるもどこ吹く風だ。
まるで、ハイハイお見通しお見通しとばかりに、ニヤニヤと笑っているのが悔しい。
「なら、遠出は明日に延期して、今日はもう少し俺と愛を深めるか?」
――なあ、松本?…って。
わざとらしくも甘い声で、耳元に囁くのだって反則だわ。
だから結局いつだって、このコドモの言うがまま。
思うがままに翻弄される。
まったく、年上の矜持なんてあったもんじゃない。
だからって素直に「はい、そうしましょ」なんて答えてあげないんだから。


「――お腹、空きましたあ。さすがに」


ツーンとそっぽを向きつつ文句を言ってやる。
だけど生憎のこと、堪えた素振りはまるでない。
(こういうところがほんっとむかつくのよね)
あんたはほんとに十六歳か!って感じよ、ほんと。
「ん。なら、ルームサービスでも頼むか?」
「…メイプルたっぷりのフレンチトースト食べたい」
「太るぞ、お前」
真顔で「一応モデルだろ」ですって。
しっつれーな!
「あなたと居るんじゃ、食べなきゃ体力持ちませんもん。だから今日はいいんですー」
だってまだまだ愛を深めるんでしょ?
それってつまりそーゆーことでしょ?
いちゃいちゃするんでしょ、いつもみたく。
ベッドの上で。
バスルームで。
時にご飯を食べながら、くちづけあったりしちゃうわけでしょ。
――なら、あまいものをうんと食べても大丈夫でしょ?









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あきゅろす。
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