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世界はたったひとかけら 1


※モデル松本と、その彼氏日番谷の現代パロです。
いちゃいちゃしてるだけのばかっぷるです。
いろいろ妄想だけで書いているので要注意☆




どうやらあたしには知らぬ間に、お付き合いしていた『元カレ』なる存在がいたらしい。
――うんまあ、尤も身に憶えはない。
ぶっちゃけ過去お付き合いをした『彼氏』なんてもの、いたことすらもないわけで。
なのに、なんだ。どう云うことだ。
如何にもと云ったこの書かれよう…。
「てゆーか、知人のAさんて誰よあんた」
そんな口の軽い友人知人は、あいにくあたしの周りにおりませんが、と。
苦々しくも溜息を吐きつつ、ニュースサイトのページを閉じる。
そのまま手にしたスマホをベッドの上へと放り投げた。――ぽすん。
とにもかくにもこの話、根も葉もないでたらめである。
尤も今のあたしに証明する手立てなどないにも等しい。
仮に「違う」と否定したところで、無駄に記事の信憑性が増すばかりなのは目に見えている。
そう云う世界に身を置いていると改めて思い知らされるばかりなのだから、また余計に頭が痛い。
(ああ、もう!ほんの半年前にまだ、ありもしない熱愛報道なんぞをでっち上げられたばかりだと云うのに…)
日本屈指の企業の経営トップと、ホテルで密会。お泊まり愛…って、バッカじゃないの?
そもそも確かにあたしは雑誌なんぞのモデルをしているけども、最近じゃあテレビなんかにも顔出しすることも増えたのだけど。
だからって、そこまで名の売れた世界的モデルでも何でもなくて、ほんっとーーにちょっと容姿が目立つだけの一モデル。
なのにそんな女のスクープ…って、ほんとバッカみたい。
(まあ、確かに相手が悪過ぎたってのはあるんだけど)
妻子ありのイケメン社長とあらば、そりゃあマスコミが喰いつかない筈もない。
「つっても別に、不倫なんかじゃないっつの」
確かに古くからの『知人』ではある。
ホテルで会っていたのも事実だし、あたしが件のホテルにお泊まりしたのも事実なんだけど。
「そもそも『相手』が違うのよねえ」
苛立つように爪を噛めば、こんもり盛り上がっていた布団の一部がもぞりと動く。
「朝っぱらからうっせえよ、あほ」
欠伸混じりの掠れ声。
隙間から覗く、銀色のふわふわの髪。
「はよ、松本」
今何時だって言いながら、上半身裸の身体を起こしたのは――まだ少し眠たげに翡翠の目元を擦る、十代半ばと思しきコドモである。
「おはようございます、とーしろーさん」
ぴょこんと跳ねた寝癖が可愛くて、ついと弛んでしまった頬。
そのままベッドに乗り上げて、寝起きの薄いくちびるを掠め取る。
「もうじき九時になっちゃいますよう」
「あー…、ワリ。ちいっと寝過ごした」
「んふふ、時差ボケですもん。仕方ないです」
何しろ普段から寝起きがいい方だとは言い難いひとなのだから、そこに時差ボケが加わった日には、寝過ごして当然とも言える。
「だから昨夜は早く寝ましょって言ったのに」
「うっせ。会うの二ヶ月ぶりなんだぞ。抱かずに寝られるかってんだ、あほ」
「あ、またあほって言う」
わざとらしくもむうと剥れて見せた傍から、その腕の中に抱き寄せられる。
「だめだ、まだねみい」
目は閉じたままにスリスリと、軽くガウンを引っ掛けただけの露わなあたしの胸元に、当然の権利とばかりに鼻先を埋める。
不埒に背を這う固い指先に、ぞくりと背筋が粟立つ。
意図せず溢れてしまった吐息に、コドモの薄いくちびるがニイッと弓なりに弧を描く。
うう、えっちいなあ…なんて。
思わず見惚れてしまったあたしがバカだった。
「わあ!跡、跡残しちゃだめえええ!」
ハッと我に返った時には、最早手遅れ。
昨夜あれほど釘を刺しておいたにも関わらず、胸のデコルテへと歯を立てられていた。
くつくつと笑いながら、そのまま強く吸い上げられてしまったのだった。
「っちょ!なんっってことをしやがりますかあ!」
ゆえに、声を荒げたのも無理はない。
だっていくら何でも悪目立ちし過ぎだ。
(え、これファンデで隠れんの?)









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あきゅろす。
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