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4.


ウザイ。
重い。
暑苦しい。
つーか、死ぬ。
マジで死ぬ。

思わず口を衝いて出そうになった理由はただひとつ、このバカが飛び付くように俺へと抱き着いてきやがったから。
その胸元に頭ごと抱き込まれてしまったからに他ならない。
(つーか、またかよこのバカは!)
何度やめろっつッてもやめやしねえ、何かっちゃあ俺に抱き着く。挟み込んでくるのだ、その胸元に。
「まっ、松本…やめ…!!」
「ううーっ!!あんたってば、ほんっっとやさしー!好きーっ!!」
やめろと抗う俺の言葉を遮るように、きゃあきゃあと喚く。嬌声を上げる。
尚も強く抱き締められて、――あ。やべ。
さすがにこれはやばかった。
ぴしっと固まる俺に気付いているのかいないのか、甘い匂いを辺りに振り撒く。
俺の劣情を駆り立てる。
「あんた一緒に委員会やってた頃から、やれボタン締めろとかスカートが短いとか口うるさいなーって思ってたんだけど、それってあたしを案じてくれていたのよねー。ん、もー。そゆとこほんとに好きよ!大ッ好き!あーん、紳士過ぎてつらい!!」
バッカヤロ、じたばたすんな。
どっちが辛いと思ってんだよ。
――まあ、思い起こせば確かに一年の頃、クラスは違うが委員会は一緒で、よく一緒に仕事を任された。
その際あれこれと小言をくれた記憶はある。
…けど、そんなんで好きになったとか、言われて納得いくわけねえだろが。
しかもそんなところがいいと言われて、そうそう手も出せるわけがねえ。
(なんっつー蛇の生殺しだよ)
牽制なのかよ。
そうじゃねえのかよ。
わからないから、やっぱりすぐには手は出せない。
この劣情を押し留めるより他ないわけで…。
「わーったから、少し落ち着け!つか、離せ!!」
肩を掴んで軽く押し戻せば、むうとばかりに膨れっ面。
恨めしそうに俺を目で詰る。

「…やさしくない、日番谷」
「やさしいっつッたりやさしくねえっつッたり、どっちだよ」
「どっちもよ、バカ!」

散々な言い草だな、オイ。
しかもどさくさに紛れてまた抱き着くし。
当たってるし。
やわらけえし。
ふわっふわの髪がどうにもくすぐってえし。
(まるっきり拷問だな)
溜息。
吐息。
虫の息。
ああもう、ンな泣きそうな顔すんな。
いい加減我慢も効かなくなるだろが。
ツンと尖らせたくちびるを、この機に乗じて掠め取りたくもなるだろが。…あほ。





end.


そんなわけで、久々に高校生。えらく青臭いふたりでお送りしましたw
えっろいカノジョをうっかり捕まえてしまったがゆえに、いろいろと我慢の子な日番谷くんと、なかなか進展しない二人の仲にじれじれしつつも幸せいっぱいな松本さんです。
いつもだったら同じガッコの先輩辺りが妥当な松本ですが、たまには同級生設定なのもよかろうと妄想妄想(^q^)


お題:sprinklamp,様

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あきゅろす。
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