[携帯モード] [URL送信]
3.


からかってんのか?
罰ゲームかよ。
訝る俺に、だがその時の松本は、目に見えて傷付いたみたいな顔をした。
ヤバイと思った時には泣き出していたから、さしもの俺もこれには焦った。
…まあ、ウソ泣きだったわけなんだが。
散々わんわん泣いてた癖にこのヤロウ、わかった!付き合うから泣き止め!って俺が叫んだ途端、ころっと泣き止んだ挙句満面の笑みで抱き着いてきやがったんだぞ。ふっざけんな!
――けど、目元はやっぱり赤かった。
抱き着いて来た際押し当てられた胸の向こう、心臓は酷く早鐘を打っていた。
浮かべた笑みに安堵の色が滲んで見えたから、今更了承を撤回することは躊躇われた。
そうして今に至るわけだが…。
(やっぱわっかんね)
背は低いし、愛想はねえし、これと云って仲のいいツレもいねえ。
どちらかと云えば遠巻きにされるばかりの目立たない俺の、いったいどこが良くて懐いてんだこいつ。
なんで好き好き言ってくんだよ。
それがわからないから躊躇ってしまう。
いちいちスキンシップが多いことに戸惑う。
つーかだなあ、ゆるいんだよ!
隙だらけなんだっつーの!!
家に来いとかバッカじゃねえの!?
しかもおま、親もいねえのに部屋に上げるとかほんと貞操観念緩過ぎんだろ!!
あー、あり得ねえ。
つか、頭が痛てえ。
今もせいせい胸の開いたトップスに、腿まで晒したミニのスカートで、ぶっちゃけ目のやり場に困るんだが。
わかってねえのかよ、本当に。
これは…誘ってんのかそうじゃねえのか。
これまで女子に縁などなかった俺にはさっぱり判断がつかん。
「あー…、松本お前な」
「ん?なあに、日番谷」
「もうちょっと危機感持て。つーかマジで目のやり場に困るから、これ肩に掛けてろ」
いい加減どうにもこうにも参ってしまって、着ていたシャツを慌てて脱ぐと、まだアイスを手にしたままの松本の腕にグイと押し付ける。
どう考えても、サイズは小さい。
けど、何もないよりはまだマシだろう。
そう思って無理やりのように押し付けた、シャツと俺とを呆然と、何度も交互に見やって。
――やがて。
ぼたんと地面に落っこちたアイス。
「は?オイ」
落ちたぞ、と。
皆まで言い終わる前に衝撃を受けた。

「ひっつがやあー!!」








[*前へ][次へ#]

6/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!