[携帯モード] [URL送信]
2.


「…お前も食うか?」
「わーい、いいの?」
仕方なしに俺も、若干溶けかけのジャイアントコーンを差し出せば、赤いくちびるが遠慮なく開き、バニラアイスにぱくりとかぶりつく。
「ん。あまーい!」
「まあ、バニラだしな」
「おいしーよね、ジャイアントコーン」
「ならお前も同じの買やあよかったんじゃねえの」
「えー、そしたら今みたく日番谷とアイスの交換できないじゃん。だからいーのっ」
してやったりとばかりに笑う女に俺が、呆気にとられたのは言うまでもない。
(なんっつーか、そこは計算済みなのかよ)
しかもいちいち俺にバラす辺り、あざといんだか素なんだかよくわっかんね。
…けど、俺と居て嬉しい!って顔してんのは間違いねえんだろうなあとは思うのだ。
そして先ず間違いなくこのバカは、さっき俺へと振った話題のことを、綺麗さっぱり忘れ去っている。
恐らくは、今のやり取りでなかったことにでもされたのだろう。
はしゃいだ様子で笑っているのがそのいい証拠だ。
だが、当然のごとく俺の記憶には残っている。
確実に、割り切れない『もやもや』を残しているのだ。





*
*

――松本乱菊。
俺のクラスメイトで、一応俺の彼女でもある。
(つか、なんで俺だよ)
わけがわからん。
意味もわからん。
何しろ、とかく目立つ女なので。
以前はクラスも違ったし、教室もかなり離れちゃいたが、一年の頃からその名とその存在だけは、何となくだが認識していた。
すっげえ美人で気さくで、胸のでっかいイイ女。
女子にしては背も高めだったこともあり、周りから頭ひとつ分飛び出た金色の髪が、ヒマワリみてえな女だと思った。
――あと、声もでかいしよく笑う。
喜怒哀楽に長けている。
ゆえに、男女問わず友人も多い。
俺とはまるっきり対極にある。
そんな女が俺へと、二年になってすぐ、好きだと告白してきたのだからわけがわからない。
(うん。まるで意味がわからんな)









[*前へ][次へ#]

5/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!