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2.


金髪。
碧眼。
パーマをあてたみたいな、ゆるふわの髪。
胸ばっか無駄に育ったあたしは、見るからに頭もお尻も軽い女に違いない、と。
どうやら周りに思われている――節がある。
斯く云う七緒も中学の時に仲良くなったわけだけど、多分…同じ委員会で話すようなことがなかったら、今こうしてあたしと親しくしてくれていることもなかっただろうなと思うのだ。
そんな見た目のあたしだからか、昔から男に声を掛けられることは間々あって。
それ相応に彼氏なんかもいたんだけれど、こう云うタイプに寄って来るのってばやっぱり、そーゆー類の男ばっかりで。
もしかしたら何かもう、いろんなものが麻痺していたのかもしれない。
――付き合ったんだから、すぐに手を出されて当たり前って。
(えー。それじゃあ、大事にされてるってことなの、あれ?)
んー…わっかんないなあ。
だって、日番谷だし。
素気無いし。
そもそもあいつ、別にあたしのこと好きってわけでもなさそうだったし。
どっちかと云えば無関心だったし。
むしろ力技で押し切って、付き合って貰ってるだけの女だし、あたし。
進んで手を出す気もない。めんどくせえ…って、風に見えないこともないのよねえ。
望めばデートに応じてくれる。
どっちかと云えば無口、口数少ないひとなのに、あたしとのくだらないおしゃべりにだって付き合ってくれる。
手を繋ぐのは…あんまり乗り気じゃないみたいだけど、五回に一回ぐらいは繋いでくれるし、抱き着いたって前ほど文句を言われることもなくなった。
でもだからって、日番谷の方から何かをあたしに望むことはなくって、それとなーくのお誘いも、さっきみたいに軽く流されてしまうから、やっぱりどうしても不安になる。
…ああ、日番谷はあたしのことなんて別に好きでもなんでもないんだな。
あたしがあんまりしつこくしたから隣に置いてくれてるだけで、きっとあたしに興味なんてない。
ウザイ。
めんどいぐらいのことは思われてそうだなと諦めてたのに、七緒ってば…。
うーん、その発想はなかったわあ…。
(ま、そう考えるのもひとつの手よねえ)
大事にされてる?
よくわかんないけど、そう捉えてしまえば確かに納得はいく。
嬉しいような気持にもなる。
きっとまだこのまま日番谷の彼女としての自信を失わずにだっていられるんだろうなと思うんだけど。…だけれども。
「まだちょっと離れ難いから一緒に居たい」
だから家に寄ってってよ、と。
デートの帰りに誘ったものの、
「なら、そこの公園にでも寄ってくか」
頑なにふたりきりになるのを避けられている。…ような気がする。
――日番谷の彼女となって早三ヶ月。
なのに、未だちゅーのひとつもして貰えない立場とあらば、どうにも自信は揺らいでしまうのだった。






>>日番谷サイド

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あきゅろす。
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