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4.


…なんて、思ったこともあったなあ。オイ。
けど、ガキの俺を色街へと連れ出した挙句、娼妓相手に脂下がってるこっちの『オレ』を見るにつけ、情けなくも惨めに思う。
(これ、俺かよ?)
ほんとに俺か?
(サイアクだな)
酒に溺れて。
女に溺れて。
香の匂い。
脂粉の匂い。
いい加減気分も悪くなる。
…うん。よかったんだろうな、恐らくあれで。
オレじゃねえ男と幸せになって。こっちの松本は。
だって真面目そうなヤツだった。
温和でやさしそうなヤツでもあった。
ひと言ふた言、挨拶を交わしたぐらいだったが、人柄の良さが滲み出るような男だった。
松本も笑っていた。
微笑んでいた。心から。
何とはなしに、懐かしいと思った。
久しく見ていない、俺の松本と同じような顔をしていた。
(会いてえなあ)
そんで抱きてえな。
抱き締めてえな、めいっぱい。
甘やかしたい。
くちづけたい。
たいちょ!って呼ばれたい。
泣きたくなるほど愛おしい笑顔だったから。

…やっぱ、こいつにだけはやれねえわな。

ナリは育って、大人になって。
まだガキの俺にはないものをみんな持っていて。
――けど、それでもちっとも羨ましくない。今となっては。
目の前で軽薄に笑う自分(オレ)を、いっそ憐れに思った夜だった。







end.


ブログでもちょっと触れてましたが、今回シュタインズゲートをちょっぴり意識してみた次第です。(※単に『世界線』って使いたかっただけ…)
すみません、実際のところ書いてる私にもよくわかってないんですが、別の世界線上から渡ってきた日番谷が、全く関係性の異なる自分と松本を客観的に見てる感じと思ってもらえれば;;
そんな三人が書きたいな〜と思っただけの駄文です。勢いだけで書き殴ってます(汗)
それが幸せかどうかは別として、松本のことほんとに全く何とも思ってない日番谷もきっとどっかの世界線上にいるんじゃないかな〜って思っただけの妄想なのです。
とりあえずちみっ子たいちょは、元の世界線に戻ったらおもきし嫁に甘えて今の幸せ噛み締めるんじゃないかな〜と(^q^)

お題:エナメル

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