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2.


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*


そうして迎えた婚姻の儀。
続く初夜。
日々の公務と政。
あの日俺へと啖呵を切った松本を、改めて妻として迎え入れて思ったのは、なんというか…まあ、いろいろとすげえ女だな、と。
いや、わかっちゃいたんだ。
わかってたんだが、想像以上だったんだよいろいろと。
帝国では毒薔薇だの奸婦だのと、随分な言われようだったらしいが、いやどこがだよ?
見た目は確かにアレだが、初夜でのあのギャップは反則だろう。
あれだけエロイ身体をしていて、まるで男慣れしていない恥じ入る様は、くるものがある。
あと、もっと気の強ええ女かと思いきや、割と甘える。
慣れると素が出る。
俺よか六つも年上の癖して、茶目っ気があって可愛らしいことこの上ないのだ。予想外にも。
また、よく笑うし、よく拗ねもする。
ささやかな我が儘だって言う。
俺を笑わせもするし、だらしなくもある。
時に無防備に俺を誘う。
俺のことを気にかけている。
俺を支えてくれる。
まだ若造の俺を導いてくれる。
諭してくれる。
正しい方へと。それとなく。
――適わねえよ。
改めて思うと同時に、好きだと思った。
必要不可欠な存在。
今の俺には、なくてはならない女だと思った。
だからやはり――幾ら周りが側妃を娶れと勧めようとも、そんな気は全くと言っていいほどには起こらなかった。
幸いなことに松本は、婚姻の儀から程なく懐妊して王子を生んだ。
産後の肥立ちも順調で、その後も閨を拒まれることもなく、二人目三人目と順調に子を孕んだから、世継ぎに関しての不安もなかった。
何よりこれほど上等の女を毎晩抱いて、今更他に目移り出来よう筈もない。
(なのにこれはどう云うことだ?)
なんっっで今俺は、自分の妻から側妃を娶れと諭されてんだ?
だいたい、おま…今更過去の失恋掘り返すなよ!
ひとり勝手に突っ走っていた、俺の黒歴史を蘇らせんな!
「…言っとくが、俺ァそこまで多情じゃねえからな。傍に置くんなら惚れた女ひとりで充分だっつー意味なんだからな!!」
妻としても、王妃としても。
子供たちの母親としても。
お前以上の女なんていねえ!
勢い余って叫んだ俺に松本が、空色の瞳をまん丸にして。
白磁の肌を真っ赤に染め上げ、
「…えっ?あれ?ええーっ!?」
そんな話は聞いてません!!とうろたえたのに、しまった…と。
俺の顔まで釣られたように真っ赤になった。









end.


結婚相手が兄から弟に代わって紆余曲折…的な何かが書きたいな〜と思い立っての宮廷パロです。盛り上がりもオチもなんもなくてすんません;
何気にこれ、元々は江戸パロで書こうとしていたネタだったり(^q^)いろいろあって挫折…した…ばたり。
自由な恋愛出来ないふたりが何の運命か婚姻を結んで思いを通わせ合っていく、なんやかんやで仲良し夫婦に納まる系の話書くのがどんだけ好きなんだよ!って感じですw


お題:alkalism

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