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7.



「ひつがや…?」
「っとに調子狂うな。いつもだったら俺の話なんざ聞きゃしねえだろ」
わけわっかんねえ…って、うん。ごめん。
だって今まではほら、イケイケ押せ押せ出来たんだけど。
やめろなんて言われたところで気にすることなく、やーだ照れちゃってかーわいー!ぐらいの勢いで逆にぎゅうぎゅうしたりとかしてたんだけど。
そういう気力も失くしちゃったの。
終わったな…って気付いたあの日に心折れちゃった。
本気で疎まれる前に、自重を心掛けてみた次第。
遅まきながらに『待て』を憶えたわけですよ。ええ。
(ま、ちょーっと遅過ぎたんだけど)
だけど今は甘えてもいいのかなあ?
だって日番谷自ら抱き締めてくれたし。
ちょっぴりだけど、眉間の皺も数を減らしたし。
このくらいの距離だったら嫌がられることもないのかなあ、なんて。
思ってついつい調子に乗った。
「日番谷」
「ん?」
「…スキ」
軽くほっぺにちゅって押し当てたくちびる。
(あでもまた、化粧が付くって怒られそう…)
だけどくちびるにするのは自重したから、このぐらいは許して欲しいと思って、これから来るであろう怒声に身構えるようにぎゅうと瞑った両の瞳。
――アレ?
だけど珍しく怒鳴ってこない。
「まあつもとおおおお!!」って。
雷が落ちないことを不思議に思って、薄っすら開けた左の目。
…アレ?
目の前には、呆れた・みたいな顔してあたしを見つめる日番谷がいて。
思わず傾げてしまった首。
「怒鳴んないの?」
「怒鳴られてえのかよ、お前は」
いいえー、とんでもない!
慌ててぶんぶんと首を横に振る。
それにはあと溜息をひとつ吐き出して、わけわっかんねえともう一度ごちる。
「別れてえとか言った傍から好き…ってお前ほんと何なんだよ」
続けて口にしたその言い分は、確かにご尤もとしか言いようがない。
あい、すみません。
そりゃあ混乱もするわよねー。
わけわっかんねえってなりますよねえええ。
「…ごめん」
しょんもり項垂れたあたしにまた吐息して、とりあえず今日はうちに来いって引かれた腕。
あ。珍しくも日番谷から、手繋いでくれるんだ。
なんて思って震えた胸。
いつもだったらあたしから、無理やりみたく繋ぐのに。
それでいて振り解こうと抵抗されるのが関の山。
――まあ、そうはいっても離さないけど。
ぎゅうぎゅうに指を絡めてやって、いてえ!いてえから!わかったからやめろ!!って、力抜け!ってやっと折れて、手を繋いでくれるばかりだったのに。
嬉しいんだか悲しいんだかよくわかんない。









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