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4.

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「…は?」
「納得もしてねえのに別れられっかよ。アホらし」

じゃあ話はこれで終わりなって踵を返すその背中に、はああああ!?って噴き出す驚きと疑問の嵐。
え?
何でよ。
意味わっかんない。
納得?
納得いったら別れんの、じゃあ?
…なんっだ、それ。
あたしと別れること自体には、別段異存はないってこと?
(まあ、知ってたけど)
(むしろ腹の内では大歓迎なんだろうけども)
なのに保留にされたのは、もしやあたしが手のひら返したように別れ話を切り出したから?
自分が振られる事態が許せなかったと云うことかしら?
それでよろしいか?
(てことは、これってば振られるの待ち?)
改めて日を置いて、あっちからあたしを振るつもりでいると云うことですかね?
(だって自分が振るならまだしも…って、言ってたもんねえあの子)
えー。何それ。めんどくっさ!
沽券にかかわる?
所謂男のプライドってヤツなのかしらね。なんだかなあ。
肩すかしもいいとこだ。
おかげで今夜の予定は見事に延期。
たんまりお酒を買い込んで、中島みゆきをレンタルしてきてBGMに朝まで飲んで、泣いて失恋に浸るつもりでいたのですが。
ついでに明日の夜には友達のツテで、合コンなんぞに挑む手筈でおったのですが。
(さすがにまだ別れてもないのに男漁りには行けないわよう!)
そこは一応あたしなりのケジメと云うヤツだ。
ええい。知ってか知らずか、随分な真似をしてくれる。
こんなだったらいっそ、この場であっさりばっさり切り捨ててくれた方がよっぽどマシなんだけど。
いっそ潔く振ってくれた方が、幾分かマシなんだけど。
(だってやあよ、いつフラレるかわかんないとか)
しかも、別れるの前提。
既に決定事項のまんま、一応カレカノの関係続けるとか、そんなの蛇の生殺しじゃん。ちょーキツイ。
なんなの、あの子。
どんだけドSなの。鬼畜なの。
それともアレか、腹いせですか。
さんざうるさくした、付き纏って来たこれまでのあたしへの意趣返しですか、もしかして。
(せーかく、わっる!!)
傷口に容赦なく塩擦り込んでくスタイルはキライじゃないけど。
むしろそんなところも好きだったけど。
今のあたしに耐えられるかどうかはまた別の問題だ。
暫定彼女の状態のまま、他の女の子に恋する日番谷を目の当たりにするのってば、精神的にも周りの目だって正直厳しい。
HPがごりごり削られてゆく音が今にも聞こえてきそうだ。拷問ですか!?
えー、あたしそんなに嫌われてたのー!?
嫌がられてました?
こんな意地悪されちゃうぐらいには、鬱陶しいとか思われてたのー!?
(いや、あり得るけども!)
わからんでもないですけどもと、再びじんわり涙目になったその時のことだ。


「…あれ?」
「何やってんだよ、ンなとこにへたり込んで」









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