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2.


だけどめげなかったし、俄然やる気が起きましたとも。
あ、そ。いいわよ、見てなさいよ!って捨て台詞吐いて、次の日から猛然とアタックを繰り返したわけで。
…まあ、要は向こうが折れたってところかしらね?
あんまりあたしが好き好きうるさかったから、
「――わかった。付き合う」
そんな感じでぼっきり折れて、晴れて付き合うことになったと云う。…うん。
これじゃあアレだ、好きなんて言ってもらえるわけがなかった。
甘い言葉も甘い態度も、そもそも見せてもらえるわけがない。
当然かー!って、今更気付くとか、ほんとあほ。
バッカだなあって今頃おもう。
結局あのひとはあたしの我がままに付き合ってくれていただけ。
…ほんとはね、わかっていたのよ。ええい、ちくしょう。
ハイハイ、好きなタイプの女の子って、あーゆー子だもんねあんた。
あの子みたいな、大人しめな子が好きなのよねえ。
なのに、ごっめんねえ、派手で喧しくって。
お淑やかからは程遠くって。
そーゆー女は好きじゃないって知っていたのに、今日まで追っ掛け廻しててごめんなさいね。
しかめっ面。
眉間の皺。
そーゆー顔もキライじゃないけど、そうじゃなかった。
あんたの大事なあの子と居る時、ふとした瞬間見せるやさしい眼差しが好きだった。
照れ臭そうに笑ったり、ちょっと切なげな目をして見せる、そんなところも大好きだった。
(あたしの前じゃ、見せないもんねえ。そんな顔)
それを寂しく思ってたこと、ずっと見て見ぬ振りをしていたんだったと、今になって思い出してしまったから。
…ああ。こんなのあたしが好きな日番谷じゃないや。
そう思ったから目が覚めた。
うん。遅いけど。
遅過ぎたけど。
むしろ一年近くも引っ張り回しちゃった後だけど。
今からでも遅くないかなと思って、ようやっと決心がついた。
…やや、そうは言ってもいざ切り出すとなると、ちょっと尻込みしちゃったんだけど。
そもそもあたしから別れ話を切り出すとか、夢にも思ってなかったし。
多分振られるんならあたしの方・って、思っていたからちょっとテンパッた。
心ぐらついちゃったし、逃げちゃったし。
涙出そうにもなったんだけど。
それでも何とか腹を括って、退路を断つように身を切る思いで切り出したのだ。

「別れよっか?」

ええもう、断腸の思いだったわよ。
顔で笑って心で泣いてを絵に描いたような、それこそ泣く泣く切り出した別れ話だったのだ。
…それなのに。

「は?何でだよ」

何でか出鼻を挫かれました。
わけわっかんねえと言わんばかりの不遜な態度に鼻じろむ。
(え?何で…て、なんでよう!)









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あきゅろす。
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