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ココロノリロン 1


※『New World Order』の日番谷サイドにして後日談。
頭のネジのぶっ飛んだ宮廷パロの続きですので苦手な方はご注意を☆



胸がでかい。
尻がでかい。
ばかりか、息を呑むほどの美貌をも兼ね備えた女。
そんな女を娶ったことを、大層羨む輩は昔から少なくなかったように思う。
だが、俺からすれば。
でかい胸など凶器でしかなく、スタイルの良さ云々よか背のでかさの方がより気になった。
見るからに大人の女であることに、引け目を感じていたのだった。
(だいたい胸がでかけりゃいいってもんでもねえだろ)
何しろあいつは肩が凝ってしょうがねえってうるせえし、バカみてえに羨ましがられる意味がわからねえ。
つーかだなあ、俺は別に肉感的な女が好きってわけじゃあねえんだよ。
それにあいつは言うほど『美人』ってわけでもねえしな。
どっちかっつーと、とんだ猫かぶりだぞ、あの女。
ああ見えて口は悪いし言いたいことはズバズバ言うし、好き嫌いだってはっきりしている。
大口開けて笑う顔はくしゃくしゃで、まるでガキだ。女じゃねえ。
だいたい向こうにしたって長いこと俺は、夫…と云うよりむしろ弟?
そう、手のかかる弟みてえなもんだったに違いないのだ。
その証拠にあの女は、事あるごとに俺をからかった。
抱き着いてくるし、抱き締めてくる。
可愛いと言っては頬に額に、構わず自身のくちびるを寄せる。
そのくせ他のヤツらの前では、殊更ツンと澄ました顔を作るのだ。
よそ行き顔で、おほほと笑う。
差し伸べられた他の男の手を取る。
優雅に踊る。
そんなあいつは全然あいつらしくなくって、薄気味悪くて、「誰だよ、お前!?」って。
文句のひとつも言ってやりたくなるのも当然だろう。
だから長いこと俺はあいつが苦手で、そんなあいつが妻であることを羨むヤツらが鬱陶しくてならなかった。
(ほんとのあいつを何にも知らねえ癖しやがって)
綺麗に着飾った嘘臭せえ笑顔と肉感的な身体だけを見て、あれこれほざくやつらのことが大キライだった。
――けど、周りの男共のあの羨望の意味を、程なく理解するには至った。
なるほど、閨で慰む相手としては、確かにこれ以上理想的な女はいまい。
手のひらに吸い付くような滑らかな肌は抜けるように白く、俺が触れるたびに淡く色付く。
両の手のひらでも余るサイズの豊満な乳房。
腰のくびれ。
たっぷりとした尻は、下肢だけでなく俺の目までもを十二分に楽しませてくれたのだから。
どいつもこいつもこの女の美貌と艶冶な身体に、そりゃあ涎垂らして魅入られていたわけだ、と。
今更のように得心した次第だった。










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