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5.


「ええっと、おーさま。念のためにひとつお聞かせ頂きたいんですけれども、これってばもしやそーゆー流れ?しちゃう?致しちゃいますかね、もしやあたしと」
「ッあったり前だ!つか、色気もへったくれもねえな、お前は!」
「それ、おーさまにだけは言われたくねえです」

負けじと言い返すあたしに、ムッと眉間の皺を深くして。
「何でだよ」
不貞腐れたように口にする、ツンと尖らせたくちびるに、そっと自身のくちびるを押し当てて。
「愛の囁きもなーんにもないとか、ムード台なし」
減点ですってにっこり笑って突き付けてやれば、途端「ぐっ!」と詰まらせた喉。
しまったって顔をして、サッと逸らされてしまった視線。赤い顔。
「や。おう。…ワリ」
極気まずげに口にしてから改めて、見据えられた視線の先、
「あー…、好きだ松本」
照れ隠し紛いに、ぶっきらぼうに口にする。
何ともむず痒いような、甘ったるい求愛の言葉。
それはいいけど、おーさま。
「だからやらせてくれ」
…って、それはマイナス五百点です。

「身体目当て?」
「んなわけあるか!」

あ。即座に否定した。
ふーん、そこは否定しちゃうんだ。
まあ、そりゃそうよね。
だっておーさま、オトコマエだし。モテますし。
恋のお相手だったら選り取り見取りの立場でしょうし。
望めば高級娼婦を添い臥しとして召し上げることだって可能でしょうし。
一応『正妃』とは云え、わざわざあたしなんぞに手を出す必要はないわけで。
だからこそ正直戸惑っている。
どうしたものかと当惑している次第だった。
「あのですね、存じておられるかとは思うんですけど、あたし…結婚運ゼロの女なんで。いずれ顧みられなくなって、離縁される定めの女なんで」
そう云う不名誉な定めに巻き込まれるってわかってます?
それとも離縁前提でされるおつもりだったりします?と、改めて念を押したところで、ケッ!と口汚く舌を打つ。
「とっくに嫁いで六年経ってんだ。そんな占い、いい加減時効だろ」
信用ならん、て。
わあ、強気ー。
「てゆか、してないですし。今はまだ『仮の奥さん』ですからねあたし。でも、致しちゃったら今度こそ、運命発動しちゃうかもですよ?浮気の虫がうずいちゃうかも…」
「なるか、あほ。つーか、他のヤツらと一緒にすんな!」
俺が何年越しでお前に惚れてると思ってんだ!って。
おーさま、ちょいちょいぶっこんできますよねえ。
いちいち女心のツボを衝かれて辛いです。ハイ。









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