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2.


けれど招かれた先であたしはまた、人知れず打ちのめされることとなる。
その国の王はまだ若く、王妃様もとても美しいひとだった。
何より政略結婚でありながら、とても仲睦まじいふたりだったから、あたしはまたますます以って自身の運命を呪いたくなった。
(なんっっであたしばっかり…)
世の中にはこんなにも仲睦まじく添う夫婦もいると云うのに、あたしなんて男運ゼロのろくな結婚も出来ない星の下に生まれて来たってどう云うこと?!
わー、なんっって不公平!
だけど王様も王妃様も、そんなあたしを異口同音に慰めてくれた。

「けれど姫は、上に立つ才があると星見の者は言っていたではないか」
「それに星見は帝国独自の儀式であり占いであって、この国にはそんな占いは存在しない」
「だからここにいることで、多少なりとも星の巡りが変わるかもしれない」

ゆえに、余り深く考えない方がいい、と。
――それは、確かにそう。
それにあたしはとっても健康、丈夫な体をしているらしく、この先長生き間違い無し!とも言ってたっけ?あの星見。
ただひたすらに結婚運に恵まれない。
ロクな男が寄って来ないと云うだけのこと。
…うん、あんま慰めにはなってないよね!
だってあたし、女だし。王女だし。
上に立つも何も、所詮嫁に行って子を生す以外、何が出来るわけでもないし。
帝国は兄が継ぐわけですし。
婿を貰うってわけにもいかないしねー!
なんて思って、結局のところやさぐれていた。
そんなあたしの心の支えは、王のひと粒でもあるまだ幼いこの国の王子様と一緒に遊ぶこと。
まだふたつなんだけど、これがすんごい可愛いんだよー!
さらさら銀糸に緑の目。
生意気なところは多々あるけども、たまにちょっぴりデレるの大変オイシイです。キリッ。
「まちゅもと、しゃがめ」
…まままちゅもと!
まちゅもとですよ!!
ちょいと聞きました、ねえ奥さん!?
はいはい何ですかねーおーじさま・って。
どっこいしょとばかりに屈めば、差し出された一輪の花。
「やる」
…って、っもおおおお!!
ちみっ子のくせにたらしだ、この子!
「ありがとうございます、とーしろーさまっ」
「ん。だから、泣くな」
そんなかおすんな、って困った風な顔で言う。
そっと眦に触れる、紅葉みたいな小さな手。
その指先のぬくもりに、どれだけあたしが癒されたことか。
抱き上げて、頬ずりをして。
額に。
頬に。
くちびるを寄せる。
「わっ!ばか、やめろっ!」
腕の中でじたじたと暴れる、小さないきもの。
日向の匂い。
ふっくふくのほっぺ。
愛らしい声。
何もかもが愛おしくって、頬を寄せた。抱き着いた。









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