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6.



「あら、あんたもう帰って来たの?」
驚いたように目を丸くしたママは、ちょうどお昼ご飯の用意をしているところだった。
今日のお昼はどうやらオムライスのよう。
「あ、いいな。あたしの分もよろしくー」
「ちょっ、あんた神様のところはいいの!?」
「いいのいいの、たまには里帰りでもして来いってお許しもらったからー」
「はあ!?」
それより、クッキーだ。
材料は…あるかな?と。
冷蔵庫と小麦粉の入った棚とをごそごそ漁る。…うん、あるある。
これだけ揃ってたら結構な量が作れそう。
「ね、後でちょっとオーブン使うから!」
「そりゃあいいけど…」
「じゃ、オムライス出来たら呼んでね!」
言うが早いか駆け込んだのは、当然の如く十日振りの自分の部屋だ。
そのままになってるやり掛けの宿題。
読み掛けの漫画。
机の上のカレンダーまでも。
何もかもがあの日のままで、ほんの少しだけセンチメンタルに浸る。
――そう云えば。
スマホ、そのままにしてたっけ。
メールとかラインとか、溜まってるかもなーと思いつつ電源を入れる。
(ま、どうせ充電切れだろうけど)
また次来る時の為に充電しておこうかなあと思って、「あれ?」とこぼれ落ちた言葉。
「…電池、あるし」
あれ?
しかも日付、まだ一日しか経ってなくない?
(え?なんで??)
もしかして壊れてしまったんだろうか。
まあ、振られたショックで一回、壁に投げ付けちゃったしなー。
うん。あれはさすがにまずかった。
失敗したなーと思いつつ、ざっとメールとラインのチェックをする。
…これと云ってめぼしいメッセージなんかもなかったし、ご飯の用意が出来たとママの呼ぶ声が聞こえて来たものだから、さっさと電源を落としてまたあたしはリビングへと戻ったのだった。








*
*



「で、どうなのよ?神様ってどんななのよ」
「えー、なあんかね、小学生ぐらいの男の子だよー。旦那様って言うより弟って感じ?でもすんごい綺麗な子だから、多分将来は有望」
「あら、やったじゃない」
「でも小姑がうるさくってさ」
「小姑?そんなひとがいるの?」
「うん。おっぱいドーン!のすんごい金髪美人。神様のお世話するのが仕事らしいんだけど、作る料理はイマイチだし、裁縫だってへったくそで、あたしがやった方がまだマシ?レベル」
「あらあ」

何とも言えない呆気に取られたような顔をしたママを他所に、オムライスをひと匙掬ってぱくりと頬張る。…うん、おいし!
あーやっぱり乱菊さんの料理より、断然ママの作るご飯の方が美味しいよねー。
てゆか、今度こっそり自分で作ってみようかな。
それでとーしろーにも食べさせてあげよう。
オムライスぐらいなら、なんとか向こうでも作れないこともないもんねえと思いつつ目をやるテレビ。
あー、そう云えばテレビ見んのも久々だわー。
てゆか、あれれ?
このドラマの再放送、まだやってたんだ。
確かあたしが向こうに行く前見てたんだよねえ。
ああくそ、この松潤カッコいいですイケメンですー…って、ちょっと待て。
(これ、あたしが家を出る前見た話のちょうど続き辺りじゃない?)
十日もあったらもっと話が進んでいるか、むしろこのドラマ自体とっくに終わっていても不思議はないのに、普通に続きだ。すぐ続きだ。
(どーゆーこと?)










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あきゅろす。
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