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きみがわらってくれることだけいのるようにねがってる 1


※『※お嬢様の世話係的な日番谷と松本のパラレルに付き要注意※
蛇足のような、後日談の更に後日談とか。



「…進路?まあ、高校出たら一応働くつもり」

勉強自体は嫌いじゃねえけど、特に上行ってまで学びたいこともねえし。
つーかそもそも大学に通うだけの金もねえし、って。
事も無げにシロちゃんは言う。
「それでいいの?」
「いいも悪いも何も、しょうがねえだろ」
適当にどっか就職するさと肩を竦めたシロちゃんは、この頃どこか人生を諦めている節すらあった。
それが酷くもどかしくもあったのだけど、だからってあたしに何をしてあげられる筈もない。
「でも、シロちゃんぐらい頭が良かったら、奨学金とか貰うって手も…」
そんなあたしの助言すら、一笑に付して。
「かもしれねえ。けど、四年も遊んでる暇はねえし。さっさと働いて母さんに楽もさせてやりてえし」
だからいいんだと断じられてしまう。
それがどうにも歯痒くてならなかった。
(だってやっぱり勿体無いもの!)
あんなに頭がいいのに。
成績だってずば抜けてるのに。
なのに、小さな頃からずっとおばさまを助けるようにお手伝いを買って出て、今もこうしてあたしのお世話をしてくれている。
例えば、勉強。
英会話。
それから時にボディーガード。
いつだってあたしの傍に居てくれるから、友達もなかなか作れなくって。
考えてみれば、部活動だってしたことがない。
趣味と呼べる趣味だってなくて、せいぜいが空いた時間にちょっと本を読むぐらい。
(それでいいのかな?)
そんなつまらない毎日のまま、学校を卒業して。就職をして。
時に、これまで通りおばさまを手伝って。
(そんなのってつまらないわよ)
このままじゃシロちゃん、友達どころか彼女のひとりも出来ないまんま、いずれお見合いでもして――それこそ「考えるのもめんどくせえ」ってあっさり結婚しちゃいそう!
そう思ったから、勢い込んで叫んでいた。
「シロちゃん!!」
「は?何だよ、今度は」
「彼女!彼女とか欲しくない!?」
作るといいよ!って。
何ならあたしが誰か紹介しようか?って、続けるところを遮ったのは他でもない。
「や。悪リィけど俺、お前相手にそーゆー気って起きねえし」
と云う、また随分なシロちゃんの言い種だった。
「ちっがああああう!!」
てゆーか、やだよあたしだって!
そんな気起きないのってば、こっちの科白だよ!!
ぎゃんぎゃんと喚くあたしの声に、ほんの少しだけ眉を顰めたシロちゃんは、「冗談だよ」って溜息を零す。
「お前云々はともかくとして、彼女とかそう云うの今はいらねえし。つーか全然興味もねえし」
面倒臭せえんだよってやっぱり口にして、早々に話を打ち切られてしまったあの日。
説得には失敗しちゃったけど、ちょっとでもシロちゃんがこれからの人生に前向きになってくれたらいいなと願った『あの日』のことをふと思い出す。









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あきゅろす。
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