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淫猥リキッド 1
※『Gotta find the way to go』の、院生日番谷×松本ネタその5に付き苦手な方は要注意☆いつも以上に捏造・裏要素過多・松本がダメな女なのでトリプル注意


酔いに任せて交わす、キス。
ふわふわとたゆたう意識の中でするそれは、決して悪くはないのだけれど…。
唐突、に。
こじ開けるように強引なまでに侵入を果たした不届きな舌に、思わずあたしは眉根を寄せた。
がっちりと掴まれた肩。
その力強さから、男が今、相当に興奮していることが嫌でもわかる。
こんな風にくちづけを交わしておいてなんだけど、やっぱり止めとけば良かったかしらと頭の中では溜息を吐いていた。
酔った勢いで意気投合した、隣の席の見知らぬ男。
太っ腹なんだか単に酒の勢いなのかは知らないけれど、あたしの分の呑み代もぜーんぶ出してくれちゃって、挙句店を出た途端に「ちょっと休んでいかないか」とばかりに連れ込み宿へと誘われて。
別に嫌いなタイプの男じゃないし、一回ぐらいならまあいいかしらと迷っていたところをくちづけられて、とりあえず応じてみたはいいのだけれど。
正直、ちっともそそられない。
てゆーか、ちっとも気持ち良くない。
(あの子のくちづけに比べたら)
…だから、困る。
へべれけに酔った頭はふわふわで。
なのに、身を委ねようとは思えない。
今尚くちづけを交わす、この男には。
そうして冷えたあたまでくちづけを交わしながら、空いた男の片手がぞろりと胸を這った時だ。
背筋にぞわりと虫酸が走ったのは。
(て・ゆーか、誰がアンタにそれを許可したかあああ!!!)
ぶっつり、と。
頭の中で何かがちぎれる音がして。
気付けば殴り飛ばしていた。
それも、懇親の力で以って。顔面を。
意表を衝かれたこともあり、男の身体は遥か後方へ向けて吹っ飛んでいた。
て、ゆーか。

「やっぱアンタじゃ、ぜったいに無理!!」
「んなっ…?!」

ちょっと待てよ、と続く制止の声をも振り切って、ふらふらと覚束ない瞬歩であたしはその場を駆け出していた。




一瞬でも直に肌を這った手のひらの感触を思い出すだけで、吐き気がする。
苦いものがこみ上げる。
男の唾液でべたべたになったくちびるを、ぐいと手の甲で拭って感触を消す。
(あー…、幾ら酔った勢いとは言え、見境なしに見知らぬ男の誘いになんて乗るもんじゃないわ)
はーあ、と深い溜息が漏れる。
――まあ。でも、キス一回とほんのちょっとのお触り程度で今日の呑み代がチャラになったんだから、良しとするかあ。
物事は基本・前向きに。
では、ないけれど。
そうとでも捉えなくてはやってられない。こんな事態は。
そう思って大人しく自室へ向かおうとしたのだけれど。
…ああでもやっぱりあんな男とキスしたまんま今日一日を終えるのって、さすがにちょっと…嫌かもしんない。
あんな男に(ちょびっとだけど)あたしのオッパイまでもを触られて、それで明日を迎えるのって、やっぱり…すっごく嫌かもしんない。
なーんて思ってしまったのが運のツキ。
足を止めて、振り返る。
未練たらたらに見遣った先。

「あー、日番谷ったらまだ起きてるかしら」

思わず口にしていた名前。
脳裏を過ぎった、生意気なコドモの生意気な横顔。
ある意味、悔しい。
こんな時に先ず脳裏へと思い浮かぶのが、あの生意気なコドモの顔・なんて。
だけど、あの子と交わすキスは悪くない。
交える吐息も、重ねる肌も。
触れる、小さな手のひらも。
てゆーか、ぶっちゃけあの子以外の男に身を委ねたいとは思えないのだ。今、あたしは。
できることならば、あの子のくちびるに。手のひらに。
今夜の苦い記憶を上書きして欲しい…なーんて、今あたしは思っている。
あわよくば、上書き以上のことがしたいな・とも思っている。
まあ、要するに。
あそこでブレーキが掛かったのも、強ちあの子のせいでもあるってゆうか?
(だって、あの子と先に寝てなかったら多分、まあいっかー…って、酔った勢いであの男相手に足開いちゃってわよ。絶対、あたし!)
少なくともそのぐらいには酔っていた筈だ。
そして、今もまだ酔っている。
そんな酔った頭に思い描くのは、つるつるすべすべのコドモの肌。
ひんやり冷たい霊圧と、肌をまさぐる冷たい指先。
鋭利な眼差し。薄いくちびる。
熱い…舌。
嗚呼、思い出すだけで身体が火照る。…から、困る。
おまけに『天性の才能』なのか、やたらと勘が鋭く飲み込みが早くて、あたし相手に技巧がぎこちなかったのは最初だけ。
大した回数も重ねてないのに、今じゃそこらの男共よりも、よっぽど『女』の扱いに長けてしまっているのだから舌を巻く。
だから、どうせ寝るんだったらやっぱり日番谷がいいなーって、思っちゃったのよ!他の男にくちづけられながら!
わー、面白くなーい!
あんな子供にすっかり骨抜きにされてる我が身が恨めしいわよ、ほんと。
それでもいそいそと足が進む先は、あの子が住まう霊術院の男子寮で。
すっかり灯りの落ちた部屋の窓を、あたしはコンコンと軽く二度ほど叩いてみた。
だけど、物音ひとつしやしない。
無論、起きてくる気配も無い。
とは云え、ここまで来てすごすごと大人しく帰れる筈もない。







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